「夕張ショック」再び?こんなに多い「財政破綻危機」状態にある自治体

 2006年6月、財政破綻を表明した北海道夕張市。負債総額は632億円に達していることが明らかになり、後にも先にも財政再建団体に転落した全国で唯一の自治体だ。

 その後、同市は市長となった現・北海道知事の鈴木直道氏のもと、返済への道筋を立て、26年度末には完済する見通しだ。だが、破綻時点で7校あった小学校、4校あった中学校は、それぞれ統合して1校に縮小。さらに水道料金は日本一高く、市内にあった市立総合病院も閉院し、診療所へと規模が縮小。社会インフラなどのさまざまな行政サービスにおいて影響が出ている。

 実は、そんな夕張が陥った財政破綻の危機に瀕する自治体は少なくない。同じ北海道内だと釧路に次ぐ、道東では第2位の人口(約11万人)を誇る北見市もそのひとつ。冬季五輪2大会連続でメダルを獲得した女子カーリングチーム「ロコ・ソラーレ」の本拠地があり、他にも人口ベースの焼肉店の数が全国で3番目に多い“焼肉の町”としても有名だ。

 今月開かれた定例市議会で北見市の辻直孝市長は、「持続可能な財政運営は困難」と衝撃発言。もはや予断を許さない状況であることが明らかになっている。

「北見市は06年に3つの町と合併し、面積は全国4位。東京23区の約2.3倍です。しかし、この合併が財政面で大きな負担となり、少子高齢化による人口減少なども重なって深刻な財政難を招いてしまった」(地方財政に詳しい全国紙記者)

 ただし、北海道では北見市以外にも士別市や赤平市、歌志内市、深川市など複数の自治体の財政危機もこれまでに報じられている。

 また、道外でも山梨県の市川三郷町が23年9月に「財政非常事態宣言」を出し、岡山県笠岡市は24年11月に「財政健全化プラン」を発表。埼玉県飯能市も2月に市長が「危機的な財政状況」と明かしているが、これはほんの一例に過ぎない。

「政令指定都市でも京都市や北九州市などは財政的に黄色信号が灯っている状況です。でも、他の自治体も含め、ほとんどは破綻寸前というわけではなく、このままだと財政破綻を将来迎えてもおかしくないという意味合いで使っています。本当にヤバくなってからでは手遅れになってしまうからです」(同)

 今後引っ越しや地方への移住を考えている人は、居住先の候補にしている自治体の財政状況もチェックしておいたほうがよさそうだ。

※画像は、財政危機が明らかになった北海道北見市

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