かつて上野〜札幌間を結んでいた寝台特急「北斗星」。北海道新幹線の開業に伴い、惜しまれつつも15年に運行終了となったが、なんと22年春に復活する。
ただし、列車ではなく宿泊施設として。実は、道南いさりび鉄道の茂辺地駅(北海道北斗市)から徒歩5分ほどのところに実際に北斗星に使用されていた車両2両が展示されている「北斗星広場」があるのだが、ここがゲストハウスとしてオープンするというのだ。
車両はもともと地元の合同会社「青(あお)」が前身の市民団体「北斗の星に願いをプロジェクト推進委員会」だった16年にクラウドファンディングで資金を募り、JRから購入。今回、ゲストハウス開業に向けて改修工事を行い、剥げていた車体を塗装し直し、換気設備や浴室・テラスなどを設置した。
なお、こうした寝台車の宿泊施設利用には他にも、寝台特急「あけぼの」の車両を使った「小坂鉄道レールパーク」(秋田県小坂町 ※冬季休業)、寝台特急「日本海」を転用した「ふれあいらんど岩泉」(岩手県岩泉町 ※冬季はキャンプ場・コテージのみ営業)、寝台特急「はやぶさ」を利用した「ブルートレインたらぎ」(熊本県多良木町)がある。
また、寝台車ではないが国鉄183系電車を使用した「民宿あずさ号」(長野県上田市)、高千穂鉄道が廃止される08年まで運行していた気動車を改造した「TR列車の宿」(宮崎県日之影町)なども鉄道ファンの間でも有名だ。
「あと、車両ではないですが北斗星に使われたベッドやパーツで寝台車風の内装を再現した『Train Hostel 北斗星』(東京都中央区)もあります。現在休業中で再開時期は未定ですが、都内なのでアクセスは便利です」(旅行ガイド編集者)
実際に走るわけではないので流れる車窓の景色を楽しむことはできないが、雰囲気を味わうだけなら十分。気軽に寝台列車の旅を楽しみたいという方にはオススメだ。
(高島昌俊)