尹政権崩壊で「韓国のトランプ」李在明氏が大統領にのし上がる最悪の事態

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣布したのは12月3日。韓国で戒厳令が発出されたのは50年ぶりで、これにより事実上、国内では一切の政治活動が禁止され、メディア報道は完全に統制されることになった。

 しかし、野党などは民主主義の根幹を揺るがす暴挙だと反発を強め、国会では政治家や市民と軍の間で激しい衝突が起こり、翌日4日早朝には非常戒厳は解除。尹大統領に対する弾劾訴追案は不成立となったが、政権崩壊を求める抗議活動は収まる気配を見せない。

 韓国検察では尹大統領が内乱を企てた疑いや職権乱用疑惑について捜査中。9日には法務当局が出国を禁止しているが、今後の韓国内政においては尹大統領が退陣、統領選挙が行われ、最大野党「ともに民主党」の李在明氏が青瓦台を陣取ることになりそうだ。

 尹大統領は22年5月の就任以降、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)を完全正常化に戻し、元徴用工の訴訟問題を巡っては率先して解決策を発表するなど日韓関係の改善と強化に尽力。近年の日韓関係は極めて良好な状態にあった。しかし、韓国国内では尹大統領による元徴用工政策は日本に対する妥協と受け止められるなど、支持率は就任当初から低く、最近では就任後最低の25%程度になるなど危険水域にあった。しかも、その状況で戒厳令というレッドラインを超えたため10%台に急落。政権運営は事実上不可能になっている。

 しかし想定される次期大統領は、日本にとって最悪の相手となる。李在明氏は日本の歴史問題や対応に強い不満を長年抱いており、反日の急先鋒と言っていい。今回の戒厳令宣布の際も、支持者たちに国会に集まって抗議の声を上げると動画配信するなど、2021年1月の米国連邦議会占拠事件におけるトランプ氏のような行動を取った。李在明氏が大統領になれば、元徴用工の問題を再び日本に持ち出し、GSOMIAの破棄などを提示してくるかも知れない。

“韓国のトランプ”誕生は日本にとって危機的な問題であり、日韓関係の後退は避けられない。

(北島豊)

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