音響・映像機器メーカーの船井電機が10月24日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。負債額は約461億円。
同社は1961年に設立され、「FUNAI」ブランドのテレビやステレオなど、主に音響機器を手掛けて大きく発展した。特にテレビは大手ナショナルブランドの製品と比べて低価格で品質もよく、一世を風靡したが、近年は中国メーカーの台頭などで競争力を失っていた。
FUNAIと言えばテレビのイメージが強いが、実は1990年代に発売したシールプリント機やプライズマシン、着メロスタンドなども人気だった。また、他メーカーでは7万から9万円以上したVHSビデオデッキが家電量販店で実質1万円以下で購入でき、愛用していた人も多かった。SNS上では、《10年以上使用しても一切故障しなかった》という声も寄せられており、耐用年数の長さも突出していたようだ。
もっとも、破産は音響機器の不振だけが理由ではなかったという。
「船井電機は2022年4月に秀和システムホールディングスに吸収合併されていますが、その後、親会社が脱毛サロンチェーンの運営会社を買収したものの、わずか1年足らずで撤退。ネット広告代金の未払いの連帯保証を行っていたことから信用不安が拡大しました。今年春には取締役9人のうち3人が辞任し、パナソニック出身の柴田雅久会長も代表権が外れ、経営体制が一新されましたが復活はできませんでした」(経済ライター)
音響機器だけでなく他業種の不振も重なるなど、負債の原因は様々だ。とはいえ、破産という結果に長年FUNAIの製品を愛用してきたファンは、ショックを受けたに違いない。
(ケン高田)