現在、全国各地で多発している高齢者宅を狙った「闇バイト強盗」。ネットを介して集められた10~20代の若者がいとも簡単に悪事に手を染めている現状が浮き彫りになったが、年配者をターゲットにするのは彼らだけではないようだ。
今年2~6月に札幌市やその周辺で起きた10件の連続窃盗事件で、3人の男が10月21日までに追起訴された。ところが、彼らの平均年齢はなんと76歳。北海道警の捜査員からは「G3S(じいさんず)」というコードネームで呼ばれ、なかでもリーダーだった被告は88歳の後期高齢者だったという。
「警察庁の統計によれば、検挙された窃盗犯の年齢層で、増加が顕著なのが65歳以上なのです」(全国紙社会部記者)
ちなみに22年に窃盗の罪で検挙された65歳以上は2万6866人。その大半は万引きだが、これを除いても7557人と多く、うち72.9%が男だった。
「年寄りなので住宅街をうろついても怪しまれません。実際、日中に留守中の家がないか物色しているケースが多いようです」(前出・記者)
22年の人口10万人に占める窃盗犯の割合は、65~69歳が68.2人、70歳以上が75.7人と20~64歳の65.0人を上回る。高齢者だから犯罪に手を染めることはないと思いがちだが、実態はむしろ逆なのだ。
「窃盗の高齢受刑者の再犯率は50%以上と非常に高く、北海道で起きた連続窃盗事件の犯人グループも、同時期に同じ刑務所で服役していたことがわかっています」(前出・記者)
何度も服役を繰り返す高齢者の中には、刑務所を「三食、寝床、介護付きの無料の老人ホーム」と捉えている者も少なくないとか…。
日本が抱える高齢者問題は数多くあり、そのどれもが喫緊の課題だが、犯罪の高齢化もまた、深刻な事態に直面しているようだ。