斎藤元彦氏は巻き込まれた!?「知事再選」を後押しする「元知事派との確執説」流布

 パワハラ・おねだりの猛バッシングを受け失職し、兵庫県の出直し知事選(10月31日告示、11月17日投開票)に再び立候補する斎藤元彦前知事だが、再選の可能性も高まっているというから驚きだ。

 兵庫県関係者が、その背景をこう明かす。

「失職後の前知事の人気沸騰ぶりはSNSでも明らか。『#斎藤知事がんばれ』などがSNSのトレンドワードにあがり、斎藤氏のXのフォロワーも13万人近くまで増えている。また、10月に立ち上げたばかりのYouTubeも、わずか数日で多くのチャンネル登録者を集め、視聴者は女性が多いとか。斎藤氏は甘いマスクと丁寧なお辞儀など、何となく女性を引き付ける要素があるだけに、アイドル的な“元さま推し”も出てきているようです。県民の間では『本当に斎藤さんは知事をクビになるほどの悪いことをやったのか』という声も大きくなっています」

 この関係者が言うには、“斎藤人気”を後押しする要素がもう一つあるという。一部マスコミで報じられた、斎藤氏の前に5期20年にわたって県知事を務めた井戸敏三元知事グループとの対立に巻き込まれたという説だ。

 前回21年の知事選には5人が出馬したが、井戸知事が後継にすべく全面支援した金沢和夫副知事が、斎藤氏に惨敗している。

「斎藤知事は当選直後から井戸県政が進めてきた方針に大胆にメスを入れた。その最たるものが約700億円をかけて老朽化した県庁舎を新築する計画をゼロベースで見直したこと。巨額の工事だっただけに、このストップには県庁内の井戸派、県議、建設業界が上を下への大騒ぎになったといわれています」(夕刊紙記者)

 それだけではない。斎藤知事は県の外郭団体人事にもメスを入れた。

「県幹部の天下り機関となっていた外郭団体は65歳定年。それまではズルズルと70歳近くまで延長してきたが、斎藤知事は厳格化して65歳でピタリと線引きした。ほかにも従来の井戸路線を次々に刷新していったことで、県庁内や県政会の井戸派からは『斎藤をクビにしろ』という声が沸騰したといいます」(同)

 こうした斎藤氏への反発がやがて告発につながり、猛バッシングの元になったという見方もある。

 一方、その「井戸体制との確執論」自体が、斎藤氏サイドのリークという説も流れている。斎藤前知事が失職後、再選を目指し辻立ち演説すると、支援者らが激励や握手を求めて駆けつけているが、その光景がSNSで発信されると「ヤラセ」「三文芝居」と揶揄されるありさまだ。

 現在、兵庫県知事選に出馬表明しているのは斎藤氏のほか、稲村和美前尼崎市長、元維新参院議員の清水貴之氏、元経産省職員の中村稔氏ら7人で過去最多の激戦となる。政治アナリストが言う。

「公認候補を擁立できなかった自民党は、野党との相乗りで稲村氏を支援すると見られている。維新を離党して無所属で立つ清水氏には裏では維新がついているはずで、前回知事選で維新の全面バックアップを受けた斎藤氏に加勢する党派はない。だが、地元神戸新聞などの事前世論調査では、わずかに稲村氏がリード、次に斎藤氏が続くという驚くべき結果になっている。最後の最後で斎藤氏が大まくり、稲村氏、清水氏らを振り切って当選する可能性も大いにあるのです」

 中央政界も波乱含みだが、540万県民を抱く兵庫県からも目が離せない。

(田村建光)

ライフ