一度は実施も4年で廃止「サマータイム」が日本で導入されないワケ

 現在、欧米圏で広く普及しているサマータイム。北半球の場合、毎年3~4月から10月~11月と期間は半年以上に及び、この間は時計の針が1時間早く進む。日照時間の長さを利用した節電や経済の活性化などが期待でき、欧米圏以外でもエジプトが昨年から再導入している。

 アジアでは韓国や中国、台湾、フィリピンなど複数の国で導入していたが、いずれも現在は廃止。日本でも1948年に導入されたが、わずか4年で終了している。その理由について事情に詳しい大手紙記者は次のように語る。

「当時の日本はまだ占領下にあり、導入は米国などGHQ(連合国軍総司令部)の意向によるものでした。しかし、20世紀前半から導入していた欧米諸国と違って日本では未知の習慣。かえって混乱を招き、主権回復に合わせて廃止となったのです」

 ただしその後も、第2次オイルショックに見舞われた70年代末に再導入について政府内で議論され、さらに、実現には至らなかったものの、90年代と00年代、10年代に議員立法の提出が検討されている。

 内閣府の「世論調査」では80年以降、サマータイム導入の是非を問う質問を複数回行っているが、いずれも賛成が反対を上回る結果に。それも回を重ねるごとに賛成の割合が少しずつ増えており、最後に実施した07年の調査では賛成56.8%に対し、反対は29.3%にとどまっている。

「おそらく、今も国民の過半数は賛成だと思いますが、導入となればコンピューターのプログラムをサマータイム用に修正しなければなりません。企業にとってそのコストは大きな負担となり、バグなどのトラブルが起きるリスクもある。クールビズとは比べ物にならないほどの経済効果は期待できますが、そうした理由で慎重論が根強いのです」(同)

 世論が賛成の立場である以上、メリットがデメリットを大きく上回るのであれば、近い将来「日本版サマータイム」の導入が再度検討されるかもしれない。

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