帝国データバンクが5月6日に発表した「芸能プロダクション(事務所)」の倒産動向調査によると、2023年の芸能プロダクションの倒産件数が過去5年で最多となったことが分かった。その原因のとして、テレビ局の凋落によってタレントの活躍の場が失われたとの指摘もある。
「同調査によると、23年の芸能プロの倒産は12件発生し、22年の4件から3倍に増加しているといいます。コロナ下においてもさほど多くなかった芸能プロの倒産がここに来て急増しており、3月27日にはタレントの壇蜜や吉木りさらが所属していた『フィット』が破産手続きを開始し、4月1日には女優の吉岡里帆や酒井若菜らが所属する『A-Team(エー・チーム)』が芸能関係の業務を休業すると発表など、有名事務所が幕を下ろすケースが相次いでいるのです」(フリーライター)
帝国データバンクは倒産増の理由のひとつに、YouTuberなどインフルエンサーとして活動する個人が増えたことで、芸能プロダクションが得意としてきた新人タレントの発掘が難しくなっていることを挙げている。確かにここ数年はYouTuberの活躍が目立っており、またネットの視聴時間が増えたことでテレビ視聴者が離れ、それも芸能プロの経営に大きな影を落としているという。
「かつては若者のテレビ離れが叫ばれていましたが、総務省の調査によると50〜60代のネット利用も増えており、全年代ではテレビの視聴時間をネットの利用時間が上回る結果になっています。その影響でテレビの広告主離れが進行しており、番組の制作費はどんどん削られてしまい、出演者のギャラも減っているのです。そのため、どのテレビ局も安いギャラで出演してくれるお笑い芸人ばかりを重宝するようになり、バラエティ番組を中心に活動していた、いわゆるテレビタレントの活躍の場がなくなってしまった。プロダクションに所属していても仕事が舞い込んでこないため、動画配信など個人で活動せざるを得ないタレントも増えているのです」(芸能レポーター)
テレビのおかげで経営が成り立っていた芸能プロは多く、今後はさらに倒産が増えていきそうだ。
(小林洋三)