カラオケ「ビッグエコー」が導入へ、“インバウンド価格”の問題点は?

 1人前1万8000円の海鮮丼に1杯5000円のラーメン。訪日外国人向けの、いわゆる“インバウンド価格”で提供されるメニューが話題になっているが、カラオケ大手「ビッグエコー」は日本人客とは別にやや高めに設定されたインバウンド客用の料金を導入する方針であることが分かった。今後、こうした二重価格がスタンダードになっていくかもしれない。

「『日本経済新聞』が報じたところによると、『ビッグエコー』を運営する第一興商は2025年3月までに、インバウンド向け料金を全500店に導入するといいます。日本語を話せるかどうかを専用のシートで確認し、日本語が話せない場合はソフトドリンク飲み放題が付いた1時間2000円か、アルコール飲み放題が付いた1時間3000円の2つのコースを選択することになります。日本人客のものより高くはなりますが、料金体系をシンプルにすることで訪日外国人が利用しやすくなるメリットもあるといいます」(フリーライター)

 観光地やレジャー施設などで相次いで導入される強気なインバウンド価格が物議を醸していて、《日本人が利用できない》といった批判の声も少なくない。しかし、日本人用とインバウンド用の二重価格を用意すれば、この問題も解決できる。ポイントサービス「ポンタ」を運営するロイヤリティマーケティングが今年2月に実施した調査によると、観光分野における二重価格には約6割が賛成していて、導入された方が観光意欲は高まるとの回答も少なくなかった。カラオケ大手がはじめることにより、今後は二重価格を導入するところも増えるかもしれない。

「すでにタイなどのアジアの観光地では二重価格を導入しているところも少なくないので、海外旅行慣れしている外国人には違和感なく受け入れられると思います。ただ、同じ商品やサービスで国内の人と外国人で価格が違うのは差別やぼったくりと捉えられることもあり、タイでは訴訟を起こされたケースもあるといいます。あまり二重価格のふたつの料金の価格に差を付けすぎるとトラブルになる可能性もあるので十分に注意する必要はありますが、上手に運用すれば大きな利益を上げることもできるでしょう」(経済ジャーナリスト)

 まずは「ビッグエコー」の二重価格導入がどのような結果をもたらすか。注目が集まる。

(小林洋三)

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