漫画家の松本零士さんが2月13日、都内の病院で急性心不全のため死去した。85歳だった。
松本さんは高校1年生のときに漫画家デビュー。1971年、4畳半で暮らす極貧青年を描いた「男おいどん」が出世作となった。その後もヒット作を連発し、中でも印象的なのが「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」だろう。
「宇宙戦艦ヤマト」では、主人公・古代進と恋仲になる森雪という絶世の美女が登場する。実は森雪の名前は、松本ファンの女性が由来。松本さんはインキンタムシ(股部白癬)に悩まされていたとき、薬局で購入した治療薬によって劇的に改善した。この治療薬を「男おいどん」に登場させたところ、森木深雪さんという女性から「彼がすっかりよくなりました」と感謝の手紙が届く。その名前が印象深く残ったのか、真ん中の「木」と「深」を取り、森雪として「宇宙戦艦ヤマト」に登場させることになった。
一方、「銀河鉄道999」のメーテルにはモデルとなった女性がいたという。メーテルは主人公の星野鉄郎と宇宙を旅する謎の美女だ。
「諸説ありますが、そのうちの1人は江戸末期に来日したドイツ人医師・シーボルトの孫娘の楠本高子です。松本さんは先祖が保存していた、ドイツ人クォーターでエキゾチック美人の高子の写真を見て、メーテルのモデルにしたといわれています。また、2019年10月配信の『スポニチアネックス』によると、松本さんは中学時代から女優の八千草薫さんのファンであったといいます。八千草さんの写真にペンを入れ、さらに自分好みに変えたとか。その手を加えた顔は、松本さん自身がメーテルに『似ている』とのことでした。さらにシンガーソングライターの加藤登紀子だという説もあります。いずれにしても魅力的な女性であることに異論はないはずです」(漫画誌編集者)
森雪もメーテルも、実在の人物と関係していたのは興味深い。
(石田英明)