ヤクルト村上の「三冠王」を阻むセ対戦投手の「新・配球論」

 8月10日、7月度の「月間MVP」が発表された。セ・リーグ打者部門に選ばれたのは、ヤクルトの村上宗隆内野手。6月度に続き、2カ月連続の受賞である。

「7月31日の阪神戦で3打席連続アーチ、8月最初の試合となった2日の中日戦での2打席連続本塁打。合わせて、NPB新記録の5打席連続本塁打となりました。文句ナシの受賞でしょう」(スポーツ紙記者)

 7月の20試合で、打率3割1分8厘、8本塁打、17打点。チームが新型コロナウイルスの集団感染に陥ったときも、強いリーダーシップを発揮していた。打率も上がり、「令和初の三冠王」も見えてきた。しかし、気になる点もないわけではない。

「5打席連続アーチが出たのは、94試合目。11日には史上最年少となる40号本塁打を放ち、シーズン記録である『60本塁打』も視野に入ってきた。ただ、対戦チームは明らかに村上対策を変えてきている。ヒットなら仕方ない、ホームランが出なければ‥‥そんな配球に変えています」(前出・同)

 7月の月間MVPが発表された8月10日の広島戦だが、カープ先発の九里亜蓮は低めに変化球を集め、最後はチェンジアップを放り、村上に強振させなかった。ここまで対戦した中には、ストライクゾーンに投げてこない投手もいた。

「今、ヤクルト打線全体が調子を落としています。1番の塩見はスタメンを外され(10日)、3番の山田もこの6試合でわずか1安打でした。村上の前に走者が溜まらないので、得点能力も落ちています」(球界関係者)

 10、11日の広島戦を落とし、今季ワーストに並ぶ6連敗。前半戦の独走態勢を支えてきたのは、村上のバットだ。「ヒットなら御の字」とする配球が続けば、終盤戦の戦況にも影響してくるだろう。

 この状況を打破できるかどうか、これも三冠王獲得の試練といえそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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