森永乳業が牛乳離れに歯止め?“保育園児3万人へ無償提供”に大絶賛の声

 森永乳業は、3月下旬から5月上旬にかけて牛乳の原料となる生乳が廃棄される可能性があることから、首都圏132カ所の幼稚園や保育所に通う3〜5歳の幼児3万人に「森永牛乳」の200mlパックを無償で提供すると発表。これにネット上では称賛の声が相次いでいる。

「昨年末にも生乳約5000トンを廃棄しなければならない可能性があるとして、岸田文雄首相が『牛乳をいつもより1杯多く飲んで』と異例の呼びかけをしましたが、ここ数年こうした生乳余りが多発している原因に2014年に世間を賑わせた”バター不足問題”があります。これを受け、業界団体や行政が官民一体となって生乳の生産基盤強化に取り組み生産量が増えたことが新たな問題を生み出すことになってしまったのです」(社会部記者)

 生乳が余るもうひとつの理由に、若者の牛乳離れもある。中央酪農会議の調査では、牛乳をほぼ毎日飲む人が中学生では約8割と最も高いのに対し、中学生以降の10代では約5割となり、20代では約4割とさらに減少していることが明らかとなり、学校給食が終わると牛乳離れが進む傾向が強まっているというのだ。その証拠に農林水産省の「牛乳乳製品統計」を見ると、1996年をピークに牛乳の消費量は右肩下がりにある。

「さらに、新型コロナウイルスの感染拡大もあって、牛乳を飲む頻度が大きく落ち込んでいるのです。少しでも牛乳の消費量を増やすためには牛乳の有用性を伝えることも重要になりますから、今回、森永乳業は幼児への牛乳無償提供する際に牛乳が持つ子どもに必要な栄養素や美味しい飲み方などを教えるリーフレットも配布するといいます。生乳廃棄を避けるだけでなく、牛乳離れを防ぐための取り組みとしても意味のあるものになるのではないでしょうか」(フードジャーナリスト)

 牛乳を余らせず、好きになってもらう取り組みは素晴らしいと言えるだろう。

(小林洋三)

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