今や年収400万円で勝ち組? 若者が捉える「高給取りの定義」の衝撃度

 人生勝ち組の定義は人それぞれだが収入の場合、かつては年収1000万円がそのラインだと言われていた。ところが今、その基準は大幅にダウンしているようだ。97年をピークに平均年収は下がり続け、21年時点では403万円に。なんとこの25年の間に64万円も減ってしまった。

「メディアは『ほぼ横ばい』なんて報じていますが、実情はそれよりもひどい。今の40代が社会人になったのはバブル崩壊後ですが、彼らは社会人になっても上の世代が高い収入を得ていたのを見ている世代。しかし、自分たちは給料が一番多くなる50歳前後でも昇給幅が少なく、現実に打ちひしがれています」(経済評論家)

 そんな中、勝ち組の条件も年収800万円や夫婦共働きのダブルインカムで世帯年収1000万円と次第にダウン。そして、なんと最近では若者世代の間で「年収400万円貰えれば勝ち組」と言われているという。

「ほぼ平均年収とはいえ、給料の多寡は二極化して労働者の半数以上は400万円に届きません。リーマンショック後の数年間を除き、00〜10年代は好景気と言われますが、実感した国民は少ない。つまり、今の20〜30代は不況しか知りません。大人になっても非正規雇用ばかりで、正社員でも低賃金で働くしかない。たかが400万円と思うかもしれませんが、彼らには大きい目標なんです」(同)

 バブル世代より上の人間には信じられないかもしれないが、今どきの若者は物欲も少ないうえ、ブランド志向もない。彼らにとっては頑張れば手の届く可能性があると希望を抱かせるのが400万円なのだ。

 実際、地方の大手製造業の孫請け企業で働く20代の男性は、「年収1000万円って見当もつかないし、ウチの会社じゃどんなに出世してもムリ。僕にとっては非現実的なファンタジーですよ」と笑う。

 しかも、平均年収はまだ下がり続けている。「年収300万円は勝ち組」なんて呼ばれる時代もそう遠くないのかもしれない。

マネー