現職大統領も惨殺! 大坂なおみ父親の母国・ハイチの無法ぶり

 女子テニスの大坂なおみの父親の母国として知られる中米カリブ海に浮かぶハイチ共和国。今月7日の深夜、そんな同国で衝撃的な事件が発生。ジョブネル・モイーズ大統領が暗殺されたのだ。

「要人暗殺の定番といえば、狙撃や爆破テロ、護衛の裏切りなどが挙げられます。ところが、今回は首都ポルトーフランスの大統領府を武装集団が襲撃するという荒っぽい手口です。いくら途上国とはいえ、こうした形で国のトップが殺されたことに世界中のメディアが驚きをもって伝えています」

 そう語るのは、複数回の現地取材歴を持つ国際ジャーナリスト。実は、ハイチでは今年2月にクーデター未遂があり、モイーズ大統領の暗殺も計画されていたことが発覚。このときは未遂に終わり、政府高官や警察幹部23人が逮捕されたが、それから半年も経たないうちの凶行にハイチの闇を深さを感じる。

 2010年に襲った大地震では20万人以上の犠牲者を出し、壊滅的な被害を受けたハイチは〝中南米最貧国〟に転落。特にポルトーフランスの治安の悪さは有名で、クーデター未遂が起きた2月には刑務所から囚人400人が逃亡する大量脱獄も発生している。

 当時、アサ芸ビズでは『やはり“リアル北斗の拳”だった!? 400人が集団脱獄したハイチ首都圏の無法絵図』として報じたが、大統領殺害という結果を見る限り、この状況が改善されることはなかったようだ。

「武装集団はカネで雇われたコロンビア人を中心としたメンバーで、元兵士や米国で訓練を受けた傭兵たちであることがわかっています。首謀者であるハイチの政府関係者が呼び寄せたとはいえ、こうした連中が簡単に入国できてしまうことが治安や警備体制のずさんさを物語っています」(同)

 2001年1月16日に亡くなったコンゴ民主共和国のローラン・カビラ大統領(当時)に続き、現職の国家元首が暗殺されたのは今世紀に入って2人目。権力闘争はひとまず収束との見方が強いが、治安と経済が崩壊状態のハイチの混乱はしばらく続きそうだ。

(高島昌俊)

*写真はハイチの大統領府

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