Bリーグもtotoの対象に!「法案成立」の背景に新国立競技場の“黒い利権”

「文教族がズラリと揃ったスポーツ議連の人たちはほっと胸を撫でおろしているかもしれません。国内外のサッカーの勝敗に投票できるtotoでは、プロ野球にも拡大しようとして頓挫。そこで今度はバスケットボールにも広げようとしていたところでコロナの流行があって、試合がないので販売すらできない状況にありましたから。バスケへの拡大が言われたのは昨年のこと。そこにきての法案の早期成立ですからね」(全国紙記者)

 12月2日、スポーツ振興くじ(toto、BIG)の対象に、プロバスケットリーグのBリーグを加える法案が参院で可決、成立した。バスケくじは2022年にも販売される見通しという。

 01年から全国販売されたtotoの仕組みは、文科省の外郭団体の「日本スポーツ振興センター」(JSC)がtotoを販売、その売り上げの半分は払戻金に充てられ、残りの4分の1が国庫に納められ、さらに残りの4分の3がスポーツ振興や選手の強化に使われることになっている。

 ところが、13年に東京五輪開催が決まると国立競技場を建て替えるという話になった。国立競技場の建設費をめぐる一連の騒動については割愛するが、最終的には当初の見積もり1300億円を230億円上回る1530億円で落ち着いた。その財源の一部としてtotoの売り上げが充てられることになったのだが…。

「16年の法改正で、膨らみ続ける新国立の整備費用に充てる%を5%から10%に引き上げる法改正が行われたんです。これが競技場だけに使われるならまだしも、競技場のすぐ脇に建設されたホテルや劇場まで組み込まれたJSCの豪華な本部ビルの建設費用まで含まれたものでした。国立競技場はJSCの所有なので、つまりは新国立の建設は、完全にスポーツ振興を大義名分とする文教族の利権と化していたんです」(前出・全国紙記者)

 こうした“黒い利権”を拡大させるためにも、totoをもっと売らなくてはという話になる。そこで出てきたのが、プロ野球への拡大計画だった。

 ところが、「早ければ2019年から」とまで話が進んでいたプロ野球totoの夢も、日本野球機構(NPB)との話し合いが18年に頓挫。拡大の理由がやはり「新国立競技場の事業に充てる」というものだっただけに、尻に火が点いた格好だ。どうにか金を引っ張って来なければならない。そこで超党派のスポーツ議員連盟がバスケに目標を定めたのが昨年の秋。議連が今年の法案提出を定めたのだ。

 すると今年になってコロナが大流行。totoを販売しようにも、そもそもサッカーの試合が行われなくなった。当然、売り上げが立たない。1回の売り上げおよそ18億円が丸々入ってこなくなったのだ。

「議連は昨年12月にはさらに東京五輪のレガシーのためにtotoを使うと言っていた矢先ですからね。金になるコンサートのための屋根の設置費だとか維持管理費の中でも足を引っ張る大規模修繕費に充てるという計画だったんですが、コロナでまさしく絵にかいた餅になってしまった。相当焦ったと思います」(週刊誌記者)

 そこへ来ての法案成立の吉報。底にあるのは財源確保の金の話なのだが、表面上はスポーツ振興。五輪を来年に控え、話は通りやすい。

 とまあ、この間の経緯を振り返れば利権の臭いがプンプンなのだが、ともかくは決まったバスケへの拡大。こんな調子だとすぐ次にも他のスポーツへの拡大案が浮上してくるかもしれない。

(猫間滋)

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