今年9月にヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。日本人での同賞の受賞は03年の北野武監督の「座頭市」以来17年ぶりの快挙だけに、日本でのフィーバーが期待されたのが、黒沢清監督の「スパイの妻」だ。そして去る10月16日にいよいよ凱旋公開となったのだが、実情はどうも異なるようで…。
同じエンタメの世界で壁となって立ちはだかったのは鬼滅。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が封切られたのが同じ10月16日なので、現在の大フィーバーぶりを考えればやはりどうも分が悪い。実際のスクリーンはもちろん鬼滅独占とは言わないまでも出来る限りのフル回転で、その次に、本国アメリカで大ヒットして日本にも上陸した「テネット」が多くを占める。例えば北海道で上映されているのはわずか1館のみ。上映がない県さえある。だからネットではこんな声も。
《私は神奈川県在住の人間ですがなんと上映館は2劇場だけ…県またぎで出かけなくてはならない方もいらっしゃいます》
「スパイの妻」の主演は高橋一生と蒼井優。だから「スパイの妻」の不遇を受けて、旦那の南海キャンディーズの山里亮太も20日放送のラジオ番組「たまむすび」(TBSラジオ)でこう訴えかけた。
「『鬼滅』もいいけど『スパイの妻』も見て」
もちろん身内の贔屓の引き倒しもあるが、
「これ、ノロケでもなんでもないよ…だってさ、銀獅子とってんのよ。17年ぶりだよ」
確かにその通りではある。だが残念ながらライバルの勢いはしばらく増すことはあっても衰える気配はなさそう。それだけに山里が肩入れしたくなる気持ちは十分に理解できる。
「ラジオでは、山里さんは一人で観に行ったと語っていました。なんでも奥さんの蒼井さんを誘ったものの、『恥ずかしい』との理由で断られてしまったとか。映画館に足を運んだ際にはツイッターで『色々な呼吸を使う子供達に囲まれながら入場時間を待つ』と鬼滅をネタにしていましたが、まるでスパイ活動のよう。鑑賞後には『面白い、とにかく面白い』と『スパイの妻』を絶賛。くしくも、鬼滅フィーバーが山里さんのけなげな宣伝活動と夫婦愛を際立たせる形となっています」(芸能記者)
「スパイ」も話題作だけに、上映開始直後の興行収入ランキングで上位にランキング入りはしているものの、さすがに今回ばかりは公開のタイミングが悪かったか。
(猫間滋)