パチンコ店vs知事vs行列客のドサクサでテレ東が“新伝説”を刻もうとしている

「このコロナのご時勢にパチンコなんて……。と思われるかもしれないけど、あの大行列をテレビで見てたら『あれ? もしかして釘を開けてんじゃないか』とか『じつは出血大サービス中?』なんて思う輩が出てもおかしくないよ。なんか今なら勝てそうな気がするんだもん」

 パチンコ歴ウン十年の知人が言うように、この数日間のテレビは「パチンコ祭り」とも言える状況だった。新型コロナウイルスのクラスターを招きかねないパチンコ店を休業させるべく、強硬手段に訴えた“急先鋒”は大阪府の吉村洋文知事。吉村知事は4月24日、かたくなに営業を続けるパチンコ店の実名の公表に踏み切った。

 すると、冒頭の知人のコメントではないが、ラサール石井がツイッターで「『皆さん、パチンコ屋が軒並み閉まって大変でしょう。今ならここが開いてますよお』と宣伝した結果になるの、わからんかったんかな」とチクリ。すると吉村知事は「お気楽な立場だよ」とやり返し、これにはラサール石井も「店名の公表がなんか『市中引き回しの刑』みたいに感じたので他に方法なかったのかと思った次第です。すみません気の利いた事も言えず」と“プチ謝罪”に追い込まれることとなった。

 そしてついに東京都も動く。休業要請に応じないパチンコ店を公表に踏み切ると発表。4月28日には、小池百合子都知事が「今日の時点でゼロ! ご協力ありがとうございます」と都内のパチンコホール全店が休業したと報告したのだが……。ワイドショーではちゃっかり店を開けて、行列客を受け入れるシーンを放送。これにはネット上でも《本当にゼロなの?》《営業してるじゃん!小池さん、下からの報告を鵜呑みにしちゃったの?》《いや、そもそもあの映像は今日撮影したものなのか?》と、ちょっとしたパニックになっていた模様。さらに、連日にわたってオンエアされたパチンコ店の“行列映像”を引き合いに出して《コロナ感染症よりもパチンコ依存症のほうが怖い》なんてコメントも見られたり……。

 パチンコ店と行列客、行政、各知事、ラサール石井、そしてコロナがもみくちゃ状態で争いを繰り広げているなか、テレビ東京がこっそり新たな伝説を刻もうとしているのをご存知だろうか。

 親しいキー局関係者が、なんともビミョーな表情で語るには、

「今晩、つまり4月28日深夜1時より、テレビ東京はパチンコバラエティー『激!今夜もドル箱』をオンエアします。モノマネ芸人のホリさんがゲストを相手にパチンコ(パチスロ)勝負をするという内容で、パチンコファンには根強い人気を誇っています。まあ、ファンがパチンコをガマンしている時期に番組を流すことについて、『不謹慎では?』なんて批判の声があがるかもしれませんが、パチンコをしたくてもできない人たちのストレスのはけ口になるのでは……という見方もできます。まあ、テレビ東京といえば、他局が湾岸戦争の様子を中継している時にアニメの『ムーミン』を流したり、ニューヨークで同時多発テロ事件が起きた際にも臨時ニュースへのサシカエはなく、のんきに温泉番組を放送していましたからね。今回も“ブレない姿勢”を示すことになるでしょう」

 番組公式サイトを見ると、モノマネ芸人のホリが腕組みでノー天気な笑顔を浮かべているだけで何ら「お知らせ」はナシ。どうやら4月28日も「平常運転」となりそうだ。巷では、「テレ東が緊急特番を放送するのは地球滅亡の時」との声もあるようで、なんだかちょっぴり癒された……ような気がするのだった。

(石川ともこ)

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