年間の販売枚数400億枚と“世界で一番売れているクッキー”としてギネス認定されているナビスコの「オレオ」。クリームを2枚のココアクッキーでサンドした日本でも人気の商品で好きな人も多いだろう。
実は、このクッキーにヒントを得た「オレオロジー」と呼ばれる研究が世界的に注目を集めている。命名したのは、米マサチューセッツ工科大のクリスタル・オーエンス博士らの研究チーム。オレオ好きの中には2枚のクッキーを剥がして食べた経験を持つ人もいると思うが、このとき挟まれたクリームは均等ではなく常にどちらか一方に多く付着するという。
幼いころからオレオが大好物だった博士はこれに着目。弾力性や粘性を測定するレオメーターという専門機器で実験を行い、クッキーをねじって分離した際のクリーム量の偏りなどを調査。すると、クリームの種類やねじるスピードは関係なく、クッキーとクリームの接着状態に左右されることが証明されたのだ。
「つまり、これは工場での製造過程や包装後の保存状態が大きく影響しているということ。オレオは銅板のような2枚の板状の物で樹脂などを挟んだ熱可塑性複合材と構造が似ており、この分野の研究に大いに活用できる内容です」(サイエンスライター)
一般の消費者にはあまり関係のない話だが、余談として研究チームは実験結果に基づき「クッキーが割れないように剥がすにはゆっくりとねじればいい」とも明かしている。
「流体力学では食品を用いた実験はよく行われており、なかでもミックスナッツの容器や袋の中でサイズの大きいナッツが上に来る“ブラジルナッツ効果”は有名です。食品なら入手しやすく危険性も少ないため、学生などの間でも実験テーマとして人気です」(同)
ここまでの本格的な研究は難しそうだが、子供の夏休みの自由研究のテーマを考えるうえでのいいヒントにはなりそうだ。