2021年の年間平均個人全体視聴率5.6%、世帯視聴率10.6%を記録し、NHKを含む同時間帯で2年連続横並びトップを獲得した情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)。今年3月21日〜27日でも平均の世帯視聴率は12.0%、個人視聴率は6.5%をマークした(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)。
圧倒的な強さを見せているが、4月4日の放送では気になる発言があった。この日から同局の斎藤ちはるアナウンサーに代わって、アシスタントに同局の森山みなみアナが登場。キャスターを務めるフリーアナウンサーの羽鳥慎一は「入社2年目です」と森山アナを紹介すると、何を思ったのか「玉川さんは退社、何年前ですか?」と質問しスタジオは笑いに包まれた。玉川氏は「退社1年前です。本当にあと1年ぐらいです」と回答すると、スタジオは一転、静まり返った。
〝玉川氏〟とは、言うまでもなく同社社員でコメンテーターの玉川徹氏とのこと。辛口発言で知られ、ときには暴走することも。3月4日の放送では、ロシアによるウクライナ侵攻について「どこかでウクライナが引く以外にない」と発言して炎上。2月14日の放送では、コロナ禍での経済の回し方について、元財務官僚で弁護士の山口真由氏と議論が白熱。頭に血が上ったのか、「山口さんは知性が非常に高い方だと思うので、びっくりなんですけど」と見下した発言をした。
実は玉川氏は意図的に暴走していた。19年4月配信の「日刊ゲンダイDIGITAL」のインタビューによると、番組がスタートするにあたり、「僕が悪役をやるので、羽鳥さんは善玉に徹してください」と役割分担を決めていたことを告白。視聴者の立場に立てば、当たり障りのないコメントではつまらないというのが理由のようだ。といっても悪玉を演じるのではなく、自分の中にある悪の要素を強調して膨らませているのだとか。
「視聴率が好調なのも、悪玉の玉川氏の貢献度が非常に高いといえます。あと1年で退職ということですが、悪玉が抜けて善玉ばかりの『モーニングショー』ではパンチ力不足で物足りなくなる可能性があります。当然、視聴率にも影響が出るでしょう。定年後も玉川氏に続投を要請するか、新たな悪玉を登場させないと、視聴率トップの座も危なくなってきます」(テレビ誌ライター)
ときには炎上するが、いなくなると寂しくなりそうだ。
(石田英明)