「夫が宗教にハマった」師走に急増するカルト教団“悪徳勧誘”への対処法とは

 リモートワークで夫の在宅時間が増えたことで、夫婦間に亀裂が生じるケースが後を絶たない。巷では「コロナ離婚」なる新語も誕生したが、そうした隙をついてカルト教団の勧誘員が接近。熱心な信者へと洗脳していくのだという。もしも家族が勧誘されたら? 専門家が対処法を指南する。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長の山口広弁護士によれば、外出の自粛やリモートワークの増加などによる「新しい生活様式」による夫婦関係の歪みが、カルト大増殖につながっていると分析する。

「自粛期間に夫婦で一緒に過ごす時間が増えることで、これまでは顕在化しなかった夫婦の亀裂が顕在化してしまい、相談・解決するためにカルト教団に駆け込んで、そのままハマッてしまうケースもあります。実際に相談があった例でも『妻が家出して困っている』といった場合や、『夫が宗教にハマッてしまった』などの相談は、コロナ以降、増えている印象がありますね」

 しかもカルト教団は団体名を隠し、巧妙に信者獲得のノウハウを駆使する。この手にかかれば、ターゲットになるほとんどの人は、勧誘を拒絶するのが難しいという。

 カルト教団に詳しいジャーナリストの藤倉喜郎氏によれば、

「正直、カルト教団に勧誘されない方法というのはありません。彼らは正体を隠して近づいてきます。表面的には、ボランティア、環境問題に取り組む団体など、いわゆる意識高い系の組織に紛れることが多い。『向上心・野心がある、意識が高い人と並びたい』など前向きな目的意識がある人のほうがハマりやすいですね。そういう人は注意が必要です。そして、危ないと思ったら徹底的に拒絶することが肝心。当初説明されていたことと違うとわかった瞬間、スパッと縁を切ることです。相手を恨んだり、話し合おうとする必要はありません。議論しても相手はプロですから、口では勝てません。後腐れなく関わりを絶ってください」

 一方、悩ましいのが家族や友人など、親しい知人がカルトの信者になってしまった場合の「脱カルト」だ。山口弁護士がアドバイスする。

「もし身内がカルトにハマッても、絶対に『お前はダマされている』と言ってしまうのはダメです。本人はよかれと思って活動しているわけですから、否定すると話し合いになりません。さらに『どうせわかってくれない』と隠してしまいます。そうすると、もっと深みにハマッていく最も悪いパターンになる。大切なのは、否定しないで本人の気が済むまで聞く、ということです。本当は『これ誘われたんだけどどう思う?』など家族会議ができる環境が必要ですが、困った場合は私が事務局長を務める全国霊感商法対策弁護士連絡会に連絡してもらえれば相談に乗ります」

 くしくも師走は、カルト教団にとって、格好の勧誘シーズンだという。藤倉氏はこう警鐘を鳴らす。

「クリスマスや忘年会などのイベントがあると、行事に絡めて勧誘してきます。特に今年は、コロナ禍での初めての年末であり、声をかけてきた人に無防備になりがちかもしれません」

 コロナとカルト、この冬はダブルで接触に気を遣わねばならない。

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