「アバター」出演断ったマット・デイモンの損失は270億円どころではなかった

 俳優のマット・デイモンが英国誌「GQ」11月号の独占インタビューに応じ、2009年公開の映画「アバター」に出演するチャンスがありながら、そのオファーを断っていたことを明かしている。

「アバター」は、架空の惑星パンドラを舞台に希少鉱物の採掘に執心する人類とそれを阻む先住民の争いを描いたSF作品で、劇場での3D鑑賞ブームの火付け役ともなった大ヒット作だ。世界での興行収入は2700億円を突破し、当時の歴代最高収入記録を樹立。そんな“超大作“にマットも主演として貢献する可能性があったという。

 同誌の取材に対し、マットはアバターで監督を務めたジェームズ・キャメロン本人からオファーがあったことを明かした上で、「ジェームズにはこう言われたよ。“いいかい? 決して誰かが必要なわけじゃない。名の知れた役者はこの映画には要らないんだ。君がオファーを受けないなら、無名の役者にこの役を渡すつもりさ。この作品に君がどうしても必要というわけじゃない。でも君がもし引き受けるなら、この映画の利益の10%をあげるよ”ってね」と打ち明けている。

 映画の出演契約を締結する際、その作品の最終的な興行収入の10%を俳優の出演料に上乗せする「インセンティブ契約」はかねてよりハリウッドで多用されてきた条項ではあるが、全世界で約2700億円もの興行収入を記録したアバターの場合、このインセンティブ契約は「270億円」という天文学的な数字となって跳ね返ってくる。つまり、主演オファーを断ったマットはこの270億円ものギャラをフイにしてしまったことになり、「僕はこの世界のどの俳優よりも損をしたことは間違いない」と振り返ったのだ。

「長い監督キャリアの中で、いまだ数本の作品しかリリースしていないキャメロン監督のSF大作に参加する権利をスケジュールの都合によって断ってしまったマットですが、その損失は270億円には留まらないでしょう。というのも、現在キャメロン監督はこの『アバター』の続編として新たに4部作のシリーズを製作中で、マットが逃した主演役はパート1に引き続き、パート2以降もサム・ワーシントンが演じる予定です。マットがもしもこの5作品全てで10%のインセンティブ契約を締結していれば、270億円どころではないとてつもない金額を受け取っていたでしょう。また、キャメロン監督はこれまでにもシガニー・ウィーバーやビル・パクストン、アーノルド・シュワルツェネッガーなど、お気に入りの俳優は作品の垣根を超えて何度も起用する傾向が強い為、マットがアバターで素晴らしい仕事をしていれば、他のキャメロン作品にも起用された可能性もありましたね」(テレビ誌ライター)

 アクション映画だけでなく、その演技力にも定評があり、様々なジャンルの作品で成功を収めてきたマットだが、逃した魚はあまりにも大きすぎたと言わざるを得ないだろう。

(木村慎吾)

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