東京・大田区の都立高校で7月16日、激辛ポテトチップスを食べた生徒14人が体調不良を訴え、病院に緊急搬送された。ここ数年、若者を中心に激辛フードを食べる姿をSNSに投稿する“激辛チャレンジ”が流行しているが、このチャレンジで痛ましい事故も発生している。激辛による致死量とはどれくらいのものなのだろうか。
「激辛チップスを食べたのは高校1年の女子生徒14人と男子生徒1人で、このうち14人が吐き気や口の痛みなどを訴えて緊急搬送されましたが、いずれも意識はあり、命に別状はないといいます。関係者によると、生徒が食べたポテトチップスには『18禁』と書かれていたといい、磯山商事が販売する『18禁カレーチップス』だったとみられます。この商品は、18歳未満は食べないように注意書きがされており、他にも『高血圧、体調不良、胃腸の弱い人、辛さに弱い人はもちろん、強い人も注意してお召し上がりください』とパッケージに表記されているのです」(社会部記者)
《辛いものを食べたくらいで緊急搬送されるのか》とネット上では驚きの声も上がっているが、昨年9月にはアメリカで14歳の少年が激辛チップスを食べる『ワン・チップ・チャレンジ』に挑戦した直後に変調をきたし、その後死亡する事故も起きている。なお、この少年は辛味成分である「カプサイシン」を大量摂取したことで心臓に異常が起きたことが死亡原因とみられている。
他にも激辛チャレンジをして健康被害を訴える若者が後を絶たず、今年6月にはデンマーク政府が韓国食品メーカー・三養食品の「ブルダック炒め麺」を「急性中毒を起こす危険性がある」として、リコールを発表したことも話題となった。
「いったい、どれだけ辛いものを食べたら死に至るのか。気になる方も多いと思いますが、マウス実験によるとカプサイシンを口から摂取した場合、1kgあたりの半数致死量(半分が死亡する量)は60-75mgという研究結果が出ているので、体重が60kgの人は3.6-4.5kgのカプサイシンで命の危険が出てくると推定できます。ちなみに、唐辛子のカプサイシン含有量は1本で約1gなので致死量は3600本以上になる計算。そう考えると相当な量を食べても大丈夫と思われるかもしれませんが、カプサイシンから受ける刺激は個人差が大きいともされています。特に、子供はまだ粘膜や血管が弱く、一度に多量のカプサイシンを摂取すれば内臓からの出血を引き起こす可能性があり、死に至る恐れもあるのです。特に激辛チャレンジは辛いものを食べて苦しむ姿が人気となっており、一度に無理して大量の激辛フードを食べる傾向にあるので注意が必要です」(フリージャーナリスト)
辛いもの好きもほどほどに。
(小林洋三)