ついに「スポーツベッティング」解禁か!「スポーツくじ拡大案」の裏にあったマル秘構想

 自民党の「スポーツ立国調査会」の会合が行われ、スポーツくじ拡大の提言がまとめられた。昨秋には、バスケットボールのBリーグで『WINNER』の販売が開始されてスポーツくじは拡大されたが、

「今回の提言では、さらにラグビーやバレーボールのW杯にまで広げることも視野に入れているそうです」(全国紙記者)

 スポーツくじの拡大をさらに進めようとの動きともとれるが、この全国紙記者は別の見方をする。

「背後に、ほぼ全てのスポーツの試合結果や内容を賭けの対象にする『スポーツベッティング』を解禁したいという、IT企業を中心とした思惑も見え隠れするんです」

 発端は20年12月に「新経済連盟」が出した声明だ。同連盟は楽天の三木谷浩史会長兼社長やサイバーエージェントの藤田晋社長らが中心になって立ち上げられた、IT系企業らニューエコノミー企業による新経済団体である。当時はコロナ拡大の真っ只中で、無観客試合を強いられて苦しんでいるスポーツビジネスの打開策として、スポーツベッティングの解禁を求めるべきとの提言を行ったのだ。サイバーエージェントによれば、スポーツベッティングの解禁による市場規模は年間7兆円にも上るという。

「スポーツベッティングについては、一時、プロ野球への拡大で話が進んだことがありますが、最終的に頓挫した経緯があります。かつてプロ野球にあった八百長と賭博の問題や、スポーツベッティングの対象となった時の権利関係の問題などもありますが、読売新聞の渡辺恒雄主筆が反対の立場だと言われており、昨年6月には読売新聞が反対キャンペーンを打っています」(前出・全国紙記者)

 その後は解禁を巡る報道はいったんは途絶えた。だが、約1年を経ての復活。解禁の動きは水面下で着々と進められていたようだ。

「『スポーツエコ推進協議会』という団体が表立って活動していますね。メンバーは日本の主だったIT・デジタル企業とその周辺会社で、100社以上が参加しています。昨年末に行われたスポーツとDXに関するシンポジウムでは、スポーツ配信で存在感を示しているDAZNの日本法人社長や、今回、報道のあった自民党調査会幹事長の宮内秀樹衆議院議員などが登壇する場面がありました」(スポーツ記者)

 同協議会のHPを見ると、今年2月には同会の幹部らが西村康稔経産相を訪問しており、積極的なロビー活動が行われていることを示している。

 加えて昨年12月には、経産省がスポーツ庁とともに立ち上げていた研究会が、スポーツベッティングの可能性も視野に入れたレポートを取りまとめている。官邸でもスポーツビジネスの活性化を掲げていて、それは現在、やはり経産省とスポーツ庁による「未来開拓会議」という名の会議で引き継がれている。

 新たなスポーツくじ誕生で落ち着くのか、あるいは海外のように本格的なスポーツベッティングがいよいよ解禁となるのか、政官財の動きが注目されるのである。

(猫間滋)

マネー