三井不動産にアーティストが激怒した「渋谷猫張り子」無断改変騒動

 三井不動産が所有する東京・渋谷のホテル「シークエンスミヤシタパーク」にあるバーのために製作したアート作品。これについてアーティストの吉田朗氏とそのマネジメントを担当するユカリアート代表の三潴ゆかり氏が連名で「まるで別の姿に改変された」との抗議文をユカリアート公式サイトに掲載し、ネット上で物議を醸している。

 吉田氏は2019年8月にバーの運営会社であるBAKERUから依頼を受け、招き猫をモチーフに犬張子と掛け合わせた「猫張り子」を製作。20年4月に作品は設置され、数多くのメディアにも取り上げられている。しかし、22年9月にバーの公式インスタグラムから猫張り子が大きく姿を変えて展示されていることが発覚。吉田氏などがBAKERUに連絡したところ、バーはマザーエンタテイメントに事業譲渡され、マザーエンタテイメントは三井不動産の許可を得て作品を改変したと説明されたという。

 改変は作品そのものと作者と作品が記された台座部分すべてに及び、イラストや文字が細かく描かれたラッピングシートで全体を覆った状態となり、接着剤は強力なものを使用して簡単には剥がせなくなっていたという。著作権や著作者人格権は作品を納品後も吉田氏に帰属していることから弁護士を通して説明を求めたところ、三井不動産は作者の許可なく猫張り子を撤去し、倉庫に移動していたことも発覚したという。

「連名の文書を見る限り、ひとつひとつ丁寧に改変に対する証拠が示されていますし、三井不動産側にも適切に対応してもらうべく動いたと思われますが、残念ながら吉田氏サイドは『事件発生当初から現在に至るまで、迅速で誠意を持った対応を受けておりません』『作品とアーティストへの敬意や文化への理解も全く感じられず』『既に精神的には限界を迎えました』と現在の状況を説明しています。吉田氏らは『傷つけられた作品を取り戻し、修復し、蘇らせること』を目標にしていくといいますが、ネット上でも応援する声が相次いでいますし、いち早く猫張り子が元の姿を取り戻せることを願うばかりです」(フリーライター)

 果たして、どこで決着を見るのか。

(小林洋三)

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