岡山県浅口市にある天台宗の寺院「圓珠院」に昔から所蔵され、以前からテレビや新聞などでたびたび取り上げられていた「人魚のミイラ」。実は、1年前から最新技術を使ってその正体を解明するプロジェクトが倉敷芸術科学大学らによって進められていたが、7日にその最終報告が発表された。
猿のような顔を持ち、下半身は魚というこのミイラは古文書によると、江戸時代の元文年間(1736〜1741年)に「(四国の)土佐沖で漁師の網にかかった」と伝えられていたが、今回の調査で人工物であることが判明。下半身はニベ科の魚類の皮、上半身は布や紙、綿などを詰めた漆喰のような土台に何層にも貼った紙とフグの皮で作られており、制作された時期は1800年台後半ごろだという。
この衝撃的な内容はテレビや新聞各紙でも報じられたが、日本にはこうした〝謎のミイラ〟が各地に点在。なかでも佐賀県伊万里市の「松浦酒造」で展示されている「河童のミイラ」、大分県宇佐市の「十宝山大乗院」に安置されている「鬼のミイラ」は、人魚のミイラと並んで〝日本三大ミイラ〟と呼ばれ有名だ。ネット上では《こっちも調べてほしい》といった声が上がっている。
「江戸時代〜明治時代の見世物小屋でこうした異形のミイラが展示されており、海外にも〝本物〟として輸出されていました。所蔵先が寺社だとご神体扱いして調査を拒むケースもあるため、調査の申し出に快く提供した圓珠院の対応に驚いています」(元オカルト雑誌編集者)
圓珠院の柆田宏善住職は地元局「RSK山陽放送」の取材に対し、「仏様が木を彫って作られたものに魂が宿っているのと同様なことかなと思います」とコメント。そのうえで「これからも守っていきたい」と語っている。
本物ではなく残念な結果だったとも言えるが、今回の件がきっかけとなり他のミイラについても調査が進むことに期待したい。
※画像は人魚のミイラが所蔵されている「圓珠院」