山之内幸夫「元山口組顧問弁護士」が76歳ユーチューバーデビュー

 昨今、「アウトロー系」と呼ばれるユーチューバーは珍しくなくなった。そこに、まさかの新規参入者が‥‥。あの山之内幸夫氏が自らの公式チャンネルを開設したのだ。

「元山口組顧問弁護士の山之内幸夫と申します。今年で76歳になるんですけども、ユーチューバーデビューをさせてもらいました」

 自己紹介から始まる動画がYouTubeにアップされたのは7月末のこと。「山之内幸夫チャンネル」の初アップにして、「六代目山口組と神戸山口組の抗争は最終段階『行く道は行くしかない』」と題された動画の反響は、わずか1週間で4万回以上視聴され、注目度の高さがうかがえる。

 山之内氏は75年に弁護士登録。その後、84年から山口組の顧問弁護士に就任した経歴の持ち主である。88年には山一抗争を〝鉄砲玉〟の目線から描いた「悲しきヒットマン」(小社刊)を上梓。ベストセラーとなり、映画化もされた。近年は自身の経歴を生かした著作活動などを行い、本誌の山口組特集でもたびたび見識をうかがっていたが、なぜ今YouTubeを? 本人に話を聞いたところ、

「一般の人にしてみると、ヤクザというのは実像がわかりにくい。例えば、現在は『六代目』と『神戸』が抗争中ですが、皆さんは、親分が『行ってこい』と命じてヒットマンが走ると思っています。でもそれは誤解で、実際には傘下組織、組員の『手柄の競争』という側面が大きい。最近は司法関係者ですら、何か事件が起きたら『親分が知らないわけがない、だから親分の罪が一番重い』という、当局に都合よく作られた『ヤクザの行動原理』を振りかざすことも少なくありません。私は約40年にわたって実際のヤクザの世界を見てきましたから、その思考や行動の理由をわかりやすく解説したい、その上で現在のような間違ったヤクザへの認識を改められたら。そう思ったんです」

 前出の初動画も、分裂抗争における当事者の心情や事件の分析、視聴者が勘違いしがちなポイントなどが、山口組と間近で接してきた立場から非常にわかりやすく解説されていた。その他の動画も視聴回数1万回を突破し、今後は実体験に基づく過去の秘蔵エピソードを披露することなども考えているという。

「ありがたいことに登録者も3000人を超え、コラボ企画のオファーなどもいただいたりしています。できるだけ多くの方に見ていただいて、これからの社会がヤクザという存在をどの程度許容していくか、そんなことを考えるきっかけになればうれしいですね」

 現在、動画のテーマソングを演奏しようと、趣味のクラシックギターを引っ張り出して猛練習しているという。ヤクザの解説以外にも目が離せないようだ。

*「週刊アサヒ芸能」8月18・25日号掲載

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