全国宝石卸商協同組合は12月20日、63年前に制定された日本の誕生石をはじめて改定し、新たに宝石10石を誕生石に追加したと発表したが、《唐突に決められた新しい誕生石に一体何の意味が?》と疑問の声もあがっている。
「日本の誕生石は、アメリカの宝石商組合によって決められた誕生石をもとに1985年に全国宝石卸商協同組合によって定められました。しかし、同組合によれば『国内においてさまざまな誕生石リストが混在しており、消費者が混乱するため、業界として誕生石を統一することを第一に考え』新宝石を追加したといいます」(社会部記者)
新たに追加されたのは、2月のクリソベリル・キャッツ・アイ、3月のブラッドストーン、アイオライト、4月のモルガナイト、6月のアレキサンドライト、7月のスフェーン、8月のスピネル、9月のクンツァイト、12月のタンザナイト、ジルコンの10石となっているが、これにネット上では《昔からの言い伝えなんかで決まってるならまだしも、いきなり誕生石になりましたって言われても何のご利益も感じないが…》《そんな適当に増えたり減ったりすると宝石屋の商売のためとしか思えない》《消費者が混乱するなら、むしろ誕生石は各月1個にするべきだと思うが…》など批判的な意見も少なくない。
「全国宝石卸商協同組合のホームページに選定理由が書かれていますが、発見者の誕生月から選ばれたというものが多く、中にはクリソベリル・キャッツ・アイが猫目石と呼ばれることから猫の日がある2月になったり、モルガナイトは桜の色合いに似ていることから桜の季節である4月になったりと、ぶっちゃけて言えば理由が弱いものもあります。そもそも誕生石とは、旧約聖書に出てくる司祭の胸当てにあった12種類の宝石とする説や、新約聖書にある神殿の土台に使われた12種類の宝石とする説があるなど諸説あり、もともと根拠があやふやなものも少なくないのです」(フリーライター)
なお、「東京商工リサーチ」の調査によれば、国内のジュエリー販売事業者は2年連続で減収減益となっており、今年はフォリフォリジャパンが経営破綻するなど新型コロナウイルスの感染拡大によってジュエリー業界は大きな打撃を受けている。今回の誕生石改定には「消費者の選択の幅が広がり、宝石への関心を高めたい」という思いもあるようだが、少々世間は戸惑っているようだ。
(小林洋三)