特急の自由席が続々消える!ナゼ全車指定席に?

 JRグループでは近年自由席が縮小傾向にあるが、今後はその勢いがさらに加速化しそうだ。

 JR東日本では特急「あずさ」「かいじ」「ひたち」など首都圏発着の多くの特急列車が全車指定席になっていたが、21年3月からは「踊り子」「湘南」も追加。さらに22年3月のダイヤ改正後には山形新幹線「つばさ」もすべて指定席となる。

 また、JR西日本も3月のダイヤ改正に伴い、「くろしお」「こうのとり」「きのさき」「はしだて」「まいづる」の各特急の自由席を廃止。すでに「はまかぜ」「びわこエクスプレス」「らくラクはりま」は全車指定席化されており、関西発着の特急からも自由席は消えつつある。

 この流れにネット上では「改悪」、「事実上の値上げ」など厳しい意見も飛んでいる。JRの場合、指定席と自由席の特急料金の差額は通常期で530円(※繁忙期、閑散期は200円増減)。事前購入やチケットレスサービスを活用すれば差額は減るが、それでも基本的には自由席特急券ほど安くはならない。

「全車指定席を導入した特急では料金体系が見直され、従来の指定席特急券よりは安くなります。それでも全体的な特急料金収入は上がり、他にも車掌の車内検札の手間がない、チケットレス化の促進で切符にかかる紙代のコスト削減など鉄道会社側のメリットのほうが大きい」(鉄道ライター)

 しかも、60年代までは特急といえば全車指定席が当たり前だったとか。半世紀以上の時を経て、再び戻りつつあるのは大変興味深い。

「かつては自分の座席が確保されているのが特急のステータスでしたから。ただ、指定席・自由席が混在していた急行列車が次々と特急に昇格し、違いがなくなってしまった」(同)

 特に現在はコロナ禍で鉄道会社の売り上げも激減。昔と理由は異なるが、原点回帰ともいえる全車指定席の流れは今後も続きそうだ。

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