尼崎の色街「かんなみ新地」に営業中止警告!「70年続いたのにナゼ」の声

「あそこでは過去に何度か、未成年者が年をごまかして働いていた言うて、店の経営者がパクられる事件はあったけど、全店舗に営業中止警告なんて、70年の歴史で初めてちゃうんかな。地元でも『なんで今更?』と驚きの声が上がってますわ」(尼崎市内の商店主)

 戦後の赤線・青線に始まったとされる兵庫県尼崎市の花街「かんなみ新地」。そんな街で長年営業を続けていた31店に対し、地元・尼崎市長と兵庫県警尼崎南署長が連名で、営業をやめるよう求める警告書を出したのは11月1日のことだ。

 大阪在住の情報誌ライターが語る。

「かんなみ新地は戦後間もない頃に遊郭としてはじまり、飛田新地や松島新地と並ぶ関西有数の色町として一世を風靡しましたが、58年の売防法施行で遊郭が廃止になったことでその多くが店を閉めた。ただ、一部の店舗は『飲食店』という名目で艶サービスを継続、警察に黙認されながら、70年に渡って営業を続けてきたというわけです」

 かんなみ新地には、小さな飲み屋のような2〜3階建ての店が軒を連ね、店の前を通ると、中にいるおばちゃんから声がかかり、2階へ上がりサービスを受けるというものだが、

「2階には布団が敷いてあるだけの小さな部屋があり、相場は20分1万円の『ちょんの間』。西成の飛田新地ほど規模が大きくないこともあり、かつては、ごくごくローカルな歓楽地として親しまれていました。ところが、ネットなどに頻繁に取り上げられたことで、ここ数年は名古屋や東京からもお客さんが訪れる人気ぶりで、目立ち過ぎたことも閉店警告の大きな要因になったのでは」(前出・ライター)

 さらに、コロナ禍の中、営業を再開した店舗があり、そのことで地元住民の間に不安が広がり、警察や行政側も動かざるを得なくなった、という指摘する関係者も多い。

 とはいえ、70年間の「黙認」を経て、いきなりの「営業中止警告」に対し、SNS上では《近くに学校があるというし、そんな場所に今まで存在していたことが不思議でならない》《人気があっても、コロナ禍での営業はさすがにまずいでしょ》といった意見がある一方、《70年も野放しにしておいて、なんか、いまさら感しかないんだけど》《法律を盾に潰すのは簡単だけど、必要悪っていう面も少なからずと思うけどね》といったコメントも。

「まだまだコロナの第六波が懸念される中、飲食店でも衛生面に最善の注意を払って営業しているのが現状。となると、繁華街以上に、住宅街にある店舗型店はどうしてもターゲットになりやすい。つまり、このコロナ禍の中では、歴史があろうがなかろうが、もはやお目こぼしは望めないということです」(前出・ライター)

 コロナ禍は、老舗色街にも深い影を落としているようだ。

(灯倫太郎)

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