Suicaなどの交通系ICカードで新幹線に乗車できるJR東日本の「タッチでGo!新幹線」。同社は先日、2021年3月のダイヤ改正からこのサービスのエリア拡大を発表。現在は東京〜那須塩原・上毛高原・安中榛名だったが、これが東京〜新青森・秋田・新庄・新潟・ガーラ湯沢・上越妙高と一気に広がる。
いちいち乗車券や特急券を買わずに済むのはラクだし、乗り換え時間も今まで以上に短縮できそうだ。ただし、JR東日本は今回の「タッチでGo!新幹線」のエリア拡大に伴い、新幹線回数券の廃止を発表。実は、これにショックを受けているビジネスマンは少なくない。
例えば、出張では出張先の地域によって一律の出張手当を支給する企業も多く、そうした会社に勤めるサラリーマンはきっぷ代を1円でも安く抑えたいと思うはず。だが、彼らが重宝している新幹線の格安きっぷは、その大半が金券ショップで売られているバラ売りされた回数券だからだ。
ちなみに新幹線回数券にはいろんなタイプがあり、種類によって2021年3月31日終了、6月30日終了のものに分かれている。有効期限は種類によって短く設定されている場合もあるが、基本的には購入から3か月。つまり、遅くても来年9月末には利用できなくなる。
そのため、「新幹線回数券は販売数の多い主力商品。これが扱えないのは大打撃ですよ」とボヤくのは都内金券ショップの店主。ただでさえ今年はコロナの影響で売り上げが大幅に下がっているのに、今回の新幹線回数券の廃止が追い打ちをかけることなりそうだ。
幸いにも東京〜名古屋・新大阪などの東海道新幹線の回数券にはそういう話は出ていないが、いつ廃止決定が発表されても不思議ではない。鉄道会社にとっても正規割引ではない金券ショップの格安きっぷは売り上げダウンにつながり、記録的な業績悪化となった今の状況では黙認できないのかもしれない。
「すでに各地で金券ショップが次々と閉店していますが、来年以降もこの流れは止まりそうにないでしょうね。ウチの店も正直いつまで持ちこたえられるかわかりません……」(前出・金券ショップ店主)
ビジネスマンの心強い味方だった金券ショップだが、今までのような使い方ができないとなると今後は出張の在り方も変わりそうだ。
(高島昌俊)