7月22日から実施されるGo Toキャンペーン。最大で旅費の50%相当が還元されるという旅行促進キャンペーンだが実施に反対の声も多くあり、混乱の中でのキャンペーン実施となっている。16日には政府が急きょ、東京発着の旅行を支援の対象外とする「東京除外」の方針を打ち出し、都内の旅行会社にキャンセルの電話が相次ぐなど、さらなる混乱を招く事態となった。
しかし、政府がそこまでしてこの時期の実施を強行する理由は何なのだろうか。
「ひとつは、夏の時期にどうしても間に合わせたいということでしょう。観光業界にとって夏のバカンスシーズンは1年でも最大のかきいれ時です。今まで耐え忍んできたホテルなどの大半もこの時期に思うように稼げないとなるともう破綻するしかないというのが実情です。7月の4連休に間に合うよう前倒ししたのもそういった理由があったからでしょう」(経済ライター)
しかし、政府が早期実施にこだわる最大の理由は他にあるという。
「まだやれるうちにやっておきたいというのが一番の理由でしょう。この先、感染拡大がさらに進むのは明白です。Go Toキャンペーンを延期したところで感染拡大が止まる目処は無く、地方でも感染者数は右肩上がりで増加していくと予想されます。そうなると日本全国が本当に旅行どころではなくなる。ワクチンや治療薬の完成まで相当の歳月がかかると見られているため、もうこの機を逃すとキャンペーンはしばらく打てない。そうなると観光業界は力尽きてしまうと政府は考えているのでしょう」(前出・経済ライター)
加えて、再度の緊急事態宣言や休業要請も検討する段階に来ており、一刻でも早く観光業者に休業に耐えられる程度の資金をプールさせておきたいという思惑もあるようだ。つまり政府は、県をまたぐ旅行が“全面禁止”となる怖ろしい“未来図”を描いているということか。
政府がGo Toキャンペーンが観光業界の救世主となる期待を寄せる一方で、キャンペーンが感染拡大を加速させて却って観光業界の首を絞めることになるのではという指摘もなされている。果たして、この劇薬は吉と出るのか凶と出るのか。
(浜野ふみ)