殺人鬼は西野七瀬でも「あな番」の警察の捜査能力が低すぎた!

 9月8日に放送された「あなたの番です」(日本テレビ系)の最終回にて、連続殺人事件の犯人が女子大生の黒島沙和(西野七瀬)だったことが明かされた。人を殺してみたい衝動に抗えないという黒島は、主人公・手塚翔太(田中圭)の妻である菜奈(原田知世)をはじめ、自分が犯してきた殺人の詳細を告白。妻を殺された翔太を激昂させていた。

 だが劇中で回想された数々の殺人シーンに、ミステリードラマ好きの間からは疑問の声が続出。《こんな殺人、ありえない》と、脚本のお粗末さにブーイングが飛んでいるという。舞台となったマンション『キウンクエ蔵前』で黒島が初めて犯した殺人について、ミステリードラマに詳しいテレビ誌ライターが指摘する。

「黒島は502号室に住む赤池美里・吾朗夫妻の首をナイフで切り裂いて殺傷。非力な女子大生がナイフを使って的確に致命傷を与えられるのかという疑問はもちろんのこと、その手口を見れば犯人がバレないはずがないという状況でした。黒島は赤池家の祖母の手引きで室内に隠れて犯行に及びましたが、その間、帽子もかぶらずに髪の毛を振り乱して犯行に及んだ。つまり、現場には彼女の髪の毛や汗が落ちていたのは確実で、これほど凄惨な殺人事件なら鑑識は毛の一本、汗染みのひとつまで調べ上げてDNA鑑定し、同じマンションに住む黒島はあっという間に特定されていたはずです。いくら黒島がボディスーツを着て手袋をしても意味がなく、現実の捜査なら彼女の痕跡はいとも簡単に見つかっていたでしょう」
 
 このように「あな番」では警察の捜査能力が異常に低く、あらゆる殺人事件がいとも簡単に迷宮入りとなっていた。しかもこの赤池夫妻の事件では、鑑識に頼らずとも黒島にたどり着くことは容易だったという。

「最終回では水城刑事(皆川猿時)が赤池家の祖母に対して、『黒島沙和はあなたのお孫さんですよね』と問いただす場面がありました。水城刑事によると赤池家の502号室と黒島の202号室は持ち主が一緒だというのです。そんな情報は警察なら当然に把握しているはずですから、赤池夫妻の事件を受けて、警察は真っ先に黒島を疑うはず。ところが劇中では最終回までこの関係性が明かされず、黒島に警察の捜査が及んだ様子もありませんでした」(前出・テレビ誌ライター)

 ほかにも、華奢な黒島がチンピラの浮田(田中要次)に医療用麻酔をかがせてから絞殺した場面では、いくら浮田が太ももをナイフで刺された手負いの状況だったとはいえ、黒島を腕力で払いのけることなど容易だったはず。同様に菜奈を塩化カリウムで毒殺した際には点滴を利用したが、留置針の挿入は経験2〜3年の看護師でも苦手にすることがあるほど難しく、素人が的確に注射針を血管内に挿入することなど不可能だ。

「『あな番』はリアリティあふれる連続殺人と練り込まれた設定が魅力の作品だったはず。それなのに最後にこのような無理のある描写が連続したのですから、本格的ミステリーファンは肩透かしを食らったのでは?」(前出・テレビ誌ライター)

 最終回では日曜ドラマ枠で史上最高となる視聴率19.4%をマーク。しかし見方を変えれば、その甘い殺人場面に呆れる人の数も史上最高を記録しているかももしれない。

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