人気の移住先というと、北海道や沖縄、首都圏から比較的近い山梨や静岡、長野などを思い浮かべる人もいると思うが、これらの地域を抑えて1位になったのは意外な県だった。
地方移住をサポートする認定NPO法人ふるさと回帰支援センターは、相談者やセミナー参加者へのアンケートをもとに「移住希望地ランキング」を毎年発表しているが、2月下旬に発表された24年のランキングでは何と、群馬県がトップだったのだ。
ちなみにアンケートに協力した相談者1万1782人の世代別ランキングでは、20代以下、30代、40代、50代で1位。60代は2位、70代以上でも3位と全世代から住みたい移住先として圧倒的な人気を誇っている。
同ランキングはテレビ各局、新聞各紙が大きく取り上げ、それにより問い合わせはさらに急増。群馬県の山本一太知事は、3月6日に行われた定例会見で「予想を超える反響」と嬉しい悲鳴を上げたが、これは県が一丸となってPRに取り組んできた結果だ。
ただし、15年まではランキングが発表される上位20県の圏外。しかし、ここから少しずつ順位を上げ、山本氏が知事に就任した19年は15位。その後も10位、5位、9位、2位と着実に順位を上げ、今回の悲願達成となった。
「群馬は自然が豊かで、全国でも有数の温泉処。高崎―東京間は新幹線なら1時間かからず、都心も十分、通勤圏内ですからね」(全国紙記者)
また、昨年発表された総務省「消費者物価地域差指数」によると、群馬の総合物価指数は、全国平均(100)を大きく下回る96.5。これは96.1だった宮崎に次ぐ低さ。首都圏一都三県は100を超えているだけに、“家計にも優しい県”であることも人気の要因のようだ。
「特に現役世代にとって新幹線通勤が可能なのも大きな魅力。引っ越しても転職する必要がないため、そこも移住先の候補地として人気を集める要因となっているのでしょう」(同)
土地の安い群馬なら広い庭付きの一軒家にだって手が届く。この点ひとつを取っても検討する余地は大いにありそうだ。