全国で唯一ポケットベルのサービスを提供していた東京テレメッセージが、9月30日にサービスを終了させ、1968年に登場したポケベルは半世紀の歴史に幕を閉じた。当初ポケベルは音が鳴るだけの呼び出し機として、外回りの多い営業マンなどが使用していたが、90年頃からは相手に数字を送信できるようになり、学生の間でも大ブームを巻き起こした。
「9月29日は東京・秋葉原で『みんなのポケベル葬』がおこなわれるなど、サービス終了を惜しむ声が相次いでおり、SNSやネット掲示板ではポケベル世代から当時の思い出を振り返る書き込みが多くみられます」(社会部記者)
そんなネット上に寄せられたポケベルの思い出をいくつか紹介しよう。
《114106=アイシテル、3470=サヨナラ、0840=オハヨウ、33414=サミシイヨとか今の若者は知らないだろう。この数字の羅列には言葉以上の意味があった》
《学校に一台だけ公衆電話が置いてあったんだけど、休み時間は他校の彼氏にメッセージを打つために長蛇の列が出来てたな…》
《顔も知らないベル友と何度もメッセージを送りあってた。友達の中にはベル友と会うことになって付き合った人もいたっけ》
《家の電話が黒電話でプッシュ式じゃなかったから、彼女に0833=オヤスミを送るだけのために毎晩公衆電話まで走っていたのも良い思い出》
「ポケベルはまさに90年代を代表する文化の一つと言えるでしょう。93年にはドラマ『ポケベルが鳴らなくて』(日本テレビ系)が制作され、国武万里が歌う同名曲は50万枚を超えるヒットを記録するなど、社会現象にもなりました。しかし、90年代半ば頃にはPHSが全国でサービスをスタートさせ、97年頃には携帯電話各社がショートメッセージ機能のついた携帯を投入すると、あっという間にポケベルの存在意義は薄れていきました。ピーク時には1000万台の契約があったポケベルですが、最終的に1500台以下にまで落ち込んでしまったのです」(ITジャーナリスト)
あなたにはどんなポケベルの思い出があるだろうか?
(小林洋三)