70階建て構想も! 環境に優しい「木造ビル」が建設ラッシュか?

 ビル建設に用いられる材料といえば、鉄筋やコンクリートが一般的だ。ところが、仙台市内に今春完成した7階建てのオフィスビル『高惣木工ビル』は、そんな既成概念を打ち破る次世代のビルとして注目を集めている。

 実は、このビルは使用された建材のほとんどが木材。高層建築で木材というと火災に対する不安を感じるかもしれないが、ビルの設計・施工を担当した山形の木材メーカー、シェルター社が開発した「クールウッド」と呼ばれる木質耐火部材を使用。厳しい耐火基準をクリアし、国土交通大臣認定を取得済みだ。

「最新技術が使用されているとはいえ、木材自体は一般に流通しているJAS製材です。つまり、場所を選ばずにビルの建材として利用することができ、コストを抑えることも可能。さらに建設中の二酸化炭素の排出量を2~3割削減できるほか、林業の活性化というメリットも期待できます」(建築ジャーナリスト)

 建築関係者の間では将来的に木造ビルの建設ラッシュも期待されており、今年の秋には銀座のど真ん中に世界的建築家の隈研吾氏が設計した12階建ての木造ビルが誕生する予定だ。

「隈氏が手がけた新国立競技場はビルではないですが、木材がふんだん使用されています。業界的にも木材を用いた建物がトレンドになっていますし、山林の多い日本は環境に配慮しながらでも十分な量の木材が確保できます。東京や大阪などの大都市には建て替えを検討している老朽化したビルも多く、そうした事情も木造ビルにとっては追い風になるはず。また、住友林業は創業350周年を迎える2041年に地上70階、高さ350mの木造ビルの完成を目指す開発構想を発表しており、今後は超高層木造建築の建設も増えそうです」(同)

 そもそも日本は現存する木造建築物としては世界最古の法隆寺もあり、古くから木造建築が発達していた国。それだけにそう遠くない将来、都心にも木造ビル群の摩天楼が出現するのかもしれない。

*写真は仙台の木造ビル

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