これもドライブレコーダーが普及した影響だろうか、最近、テレビのニュース番組で火球の映像を見る機会が増えた。まばゆい光を放ちながら落下する流星のなかには、ごくまれに隕石として発見されるケースがあるそうだが…。
空気が澄んだ冬場ほどキレイに見える流れ星。その多くは大気圏中で消滅するが、なかには隕石として落下する場合もある。
一説によると、隕石の数は年間2万個前後。ただし、地球上の7割は海で占められており、それに当てはめると陸地に降り注ぐのは6000〜7000個ということになる。
しかも、このうち回収されるケースはごくわずか。隕石には地球上には存在しない、もしくは希少な成分が含まれている場合があり、カネに糸目をつけない熱狂的な収集家も世界各地にいる。そのため、驚くほどの高値で取引されることも珍しくないのだ。
今年8月、インドネシアの北スマトラ州に住む棺桶職人のジョスア・フタガルンさん宅の屋根を突き破って隕石が落下。一歩間違えば自身が棺桶に入りかねない状況だったが、この出来事が彼の運命を大きく変えることに。
バレーボールよりひと回り小さいサイズの隕石は重量約2.2キロ。生命誕生に欠かせない珍しい希少な元素が含まれていたことから世界中のコレクターたちが購入を希望。なんと約1億9000万円の値段で取引されたという。
日本でも1992年、島根県の民家に隕石(※写真)が落下。当時ニュースで大きく取り上げられたが、この家の主人は数億円もの値段で買取を希望する人がいたにもかかわらず、地元の松江市に寄付。一獲千金のチャンスを自ら手放すなんてそう簡単にはできることではないが、大金を得られる可能性があるのは間違いないようだ。
とはいえ、落ちた場所が自宅や所有する土地である場合、大きなニュースになることは避けられなさそうだ。かといって隕石の情報をリアルタイムで一般人が入手するのは至難の業。これまで日本国内で落下が確認された隕石はたったの52個しかないため、拾いに行くというのもやはり難しそうだ。
宝くじで1等前後賞が当たるより確率が低いと思うが、目の前に隕石が落ちる奇跡的な場面に遭遇しないとも限らない。そう考えると寒い今の季節、星空を眺めるのも悪くないかもしれない。
(写真・文/高島昌俊)
※写真は島根県に落下した隕石の実物