200平米の個室は男子禁制!「世界一広い公衆トイレ」が房総半島奥地にあった!

 11月10日は日本トイレ協会が定めた「トイレの日」。いつも何気なく利用しているが、世界一広いとされる公衆トイレが千葉県にあるのをご存じだろうか?

 それは千葉県市原市の飯給(いたぶ)駅のすぐそばにある公衆トイレ。1人用の個室にもかかわらず、なんとテニスコート(約200平米)に匹敵するほどの広さがあるというのだ。

 ただし、場所は房総半島のほぼ中央部。JR内房線の五井駅でローカル私鉄の小湊鉄道に乗り換えて行くのだが、1時間に1〜2本しか出ていないため、スムーズに乗り継ぎができても都内からだとたっぷり2時間はかかる。

 田舎駅の雰囲気を漂わす飯給駅を下車後、線路沿いの道を40〜50メートル歩くとそのトイレが見えてくる。人の背丈が隠れるくらいの黒茶色の塀に囲まれており、パッと見た感じはトイレのようには思えない。

 ドアを開けて中に入ると、塀に囲まれた原っぱの中央にポツンと小さなの水洗トイレが置かれている。電話ボックスのような箱型だがガラス張りなので中は丸見え。塀のドアは内側から施錠できるため、外から覗かれる心配はなさそうだが、ここで用を足すのは少し勇気が要りそうだ。

 しかも、このトイレは女性専用で男性の利用はNG(※誰も使用していなければ見学可能)。こんなに広いスペースなら高速道路のSA、PAにあるような大きなトイレも作れそうだが、そもそもなぜ1人分しかないのだろうか。

 そこで調べたところ、このトイレは建築家の藤本壮介による「市原の公衆トイレ」というアート作品であることがわかった。過去に地元で行われた「中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス」に展示作品のひとつとして出品。イベント終了後は題名の通り、公衆トイレとしてそのまま使用されていたというたわけだ。

 確かに、斬新なデザインではあるのに周囲の里山の景色と調和しており、不思議と違和感はあまりない。こんな開放的な場所では緊張して出るものも出ないかもしれないが、インスタ映えするのは間違いなさそう。ちょうど今の時期ならトイレをしながら紅葉を味わうこともできそうだ。

(写真・文/高島昌俊)

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