かつては通勤・通学の足として多くの人が利用していた原付バイク。日本自動車工業会の統計によると、70年代後半から90年代初頭にかけて生産台数は年間100〜200万台を記録していたが、そこから市場が縮小。15年には6万6000台にまで落ち込んでいる。
その後、少し持ち直して17年以降は10万台を超えるようになったとはいえ、それでもピーク時の10分の1にも満たない。しかも、25年11月には原付バイクの現行モデルがほぼすべて生産終了を迎えるという。
「これは19年2月から施行された『令和2年度排出ガス規制』が関係しています。OBDⅡと呼ばれる排出ガス浄化機能の劣化をチェックする装置の搭載が義務化となるためです。施行前から生産が継続されている原付バイクに猶予期間が認められていましたが、25年11月以降からは規制が適用となります」(バイク専門誌編集者)
ちなみにこの規制はヨーロッパで以前から導入されていた「EURO5」に準じた内容で、いわば国際基準に合わせたもの。素人目にはOBDⅡとやらを搭載すればいいように思うが、そう簡単な問題ではないらしい。
「原付バイクは構造的に排気ガスの浄化が難しく、イチから設計を見直す必要があります。技術的には可能とはいえ、莫大なコストがかかってしまい大幅値上げが必至です。つまり、OBDⅡ搭載以前の問題なんです」(前出・編集者)
原付バイクの新車相場は1台20万円前後。特に電動アシスト付き自転車が登場し始めてからはこちらを選ぶ人も多く、相場も半分の10万円前後で済む。また、電動スクーターも徐々に普及しており、新しいモデルも次々と登場している。
「規制適用後はガソリンエンジンの原付バイクは中古市場のみとなります。将来的には絶滅とまでは言いませんが、マニアの嗜好品のような扱いになるでしょうね」(前出・編集者)
さびしい気もするが、環境のことを考えれば仕方ないのかも。