家電量販店「ノジマ」のスルガ銀行株取得で加速する”地銀の大規模再編”

 10月25日、家電量販店のノジマがスルガ銀行の創業家から株を買い取ると発表した。

 既に保有していた株式と合わせると約20%弱で、20%以下なら金融庁の認可が要らない。それでも約140億円という、年商5000億円のノジマにしてはけっこう高額な買い物なので、ネットでも「実質、ノジマ銀行だ」などと評されている。

「スルガ銀行では昨年に、首都圏で女性用シェアハウスの『かぼちゃの馬車』を展開する不動産会社のサブリース向け融資で”組織的な”不正融資があったことが発覚。さらには過激なノルマ営業、パワハラ、創業家との不適切な関係、反社会的勢力とのつながりなどがボロボロと出てきて、金融庁から業務停止命令などを食らって経営が危うい状況となっていました。そこでスポンサー探しが行われていたのですが、最終的にノジマが手中に収めたという形です」(金融ジャーナリスト)

 すると当然、出てくるのは「なぜ家電量販店が銀行を?」という問いだが、

「もともと両社が結んでいた業務提携では、クレジットカードの共同事業化と、これによるネットでの各種金融サービスの展開、さらなるフィンテック事業の推進などを謳っていたので、その通りの狙いだと思います」(同前)

 ノジマは業界第5位。本業の家電量販店は既に飽和状態なので、どのみち何らかの生き残り策を打たねばならなかった。富士通からニフティを買収、携帯電話販売代理店大手を傘下に持つなど、ネット事業を展開するインフラは整っていた。ノジマは神奈川県発祥で周辺首都圏が中心。スルガ銀行の本拠が静岡県で神奈川県との両県を主な営業エリアとする地域的親和性もあったので、ノジマとしては好都合だったこともある。

 果たしてその狙い通り事が運ぶかどうかは今後の推移を見守るしかないが、今回の動きが示すのは、いくら銀行と言えども経営不振に陥るなどして安い買い物になるのであれば家電よろしく買われてしまう時代だということだ。ノジマに最終決定するまでには、りそな銀行と新生銀行も候補に挙がっていたが、りそなはレオパレス21の同じサブリース問題を抱えており、いったんはノジマと共に業務提携を結んだ新生銀行は、未だ公的資金の返済を抱えたままで、結局はスルーした。

 そんな銀行業界自体の体力が欠ける中、ノジマと最後までスポンサーの座を争ったのがSBIホールディングスだ。

「SBIトップの北尾吉孝CEOは、今年9月に『第4のメガバンク』構想をブチ上げました。地域金融機関と連携し、新たなフィンテック・ビジネスを展開する、という狙いです」(経済部記者)

 するとさっそく、経営不振にあえいでいた島根銀行に25億円を出資して業務提携を結んで構想内に引き入れた。全国に約100ある地銀のうち、5割が本業で赤字だ。構想には10の銀行から引き合いがあったことも報道されている。

 一方でSBIは10月10日、ヤフーを傘下に持つZホールディングスと包括提携を結び、「ヤフー経済圏」作りを進めている。提携がさらに親会社のソフトバンクにまで広がるかが今後の焦点だが、いずれにせよ、もはや銀行経営が銀行単体でどうこういう時代でなくなっているのは事実。今回のノジマの参入のように、異業種入り乱れての業界地図再編が行われるかもしれない。

(猫間滋) 

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