傷口が今も癒えていないことが分かった。
各球団とも1位選手の指名挨拶を始めており、甲子園の雄・奥川恭伸を3球団の抽選で引き当てた東京ヤクルトスワローズも、伊東昭光編成部長と阿部健太スカウトが石川・星稜高校に赴き指名後初対面を果たした。
「神宮球場で栄える背番号を!」
背番号は、往年のエース・荒木大輔(現・日本ハム二軍監督)が付けていた「11」、あるいは高津臣吾・新監督の「22」が検討されているという。
球団は、将来のエース候補を獲得した喜びひとしおのようだが、ドラフト当日、「当選クジ」を引き当てた瞬間に出た“第一声”は、
「間違ってないだろうなあ?」
だった。そう、2015年のドラフト会議で、当時の真中満監督が高山俊(現阪神)の抽選でハズレくじを間違えてガッツポーズをした“悲劇”である。真中監督はインタビューで「待っています!」とまで話し、全国ネットの生放送で赤っ恥をかいてしまった。
今回も競合相手に当時と同じ阪神がいたこともあり、ヤクルトはすぐにバンザイとはいかなかった。
「高津監督にインタビューマイクを向けられていた最中も、当選くじを他出席者が確認していました」(ドラフト会議関係者)
12球団の各テーブルには「当選くじ」のサンプルが張り付けられており、間違いようはないのだが、一般ファンの観覧を許して以来、ドラフト会場には独特の緊張感も漂っている。
第一声が「間違っていないか!?」では、引き当てた歓喜もイマイチだったはず。ヤクルトは奥川との初対面を果たして、ようやく“当選の実感”が湧いてきたのかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)