「ボコボコに殴り合ったらいいんですよ」と言うのは、芸人ながらこれまでキックボクシング、柔術、ロシアの軍隊格闘術システマやサンボなど様々な格闘技を習ってきた、みなみかわ氏だ。
「ブレイキングダウン(格闘家の朝倉未来がCEOを務める、プロアマを問わない1分1Rの格闘技大会)人気でもわかるように、やっぱり殴り合いって見てておもろいですから。イーロンなんかはクレイジーな雰囲気があるし、絶対に相手を思い切りブン殴れると思うんです。ザッカーバーグは柔術やってると言うても、柔術と総合ってまったく違うスポーツなんで。僕はイーロンが一方的に勝つんじゃないかと思います」
太田氏もイーロン優位説を取る立場だ。
「結局、人を殴れるか殴れないか、ってすごく大きくて。ザッカーバーグは柔術の練習をしていても、おそらく、人を殴るトレーニングをしていないと思うんです。しかも、イーロンとは体のサイズが全然違う。リーチや体重で、イーロンの方が少なくとも2、3階級上ですから、優位は動かないでしょうね」
2人の体格を見ると、ザッカーバーグ氏が推定171センチで体重70キロ前後、対するイーロン氏が188センチ、90キロ前後と大きな開きがある。技術で体格差を埋めるのは容易でなさそうだが、
「自分がイーロンと試合すれば間違いなく勝ちますけど、同じぐらい体の大きいプロ格闘家と試合すれば、絶対に勝てません。ザッカーバーグの方が多少テクニックが上だったとしても、圧倒的なフィジカルの差があれば勝つのはかなり難しい」(太田氏)
似た格闘歴では体格差を覆すのが至難の業、ということはよく理解できた。では、ザッカーバーグ氏に勝ち筋があるとすれば、それはどういうものだろうか。
「スタンドから試合が始まれば、テイクダウンさせるのは困難でしょう。腕への関節技は相手を完全に倒さないとなかなかきまりません。ですからローシングル(相手の片足の足首にタックルをきめて持ち上げたり倒したりするレスリング技)やイマナリロール(片足に巻きつくように足を取り、自分の体を回転させて相手を倒す技)で、そのまま足関節をきめに行けばチャンスがあるかもしれません。足関節は外すのに技術が必要だし、そもそも足は割と簡単に骨が折れますから。あと何分何ラウンドになるかはわかりませんが、年齢が上の分、イーロンの方がスタミナ切れは早いはず。ザッカーバーグは持久戦に持ち込みたいですね(太田氏)
先にイーロン氏の勝利を予想していたみなみかわ氏だが、頭の片隅ではこんな未来図を思い描いていた。
「ストーリーとしては、ザッカーバーグに失神KOさせられたイーロンが『次は南アフリカでやろうぜ』みたいになったらオモロそうですね。そもそも2人ともめっちゃ金持ってるんやから、UFCのコナー・マクレガーやボクシングのメイウェザーとかビッグネーム呼んだり、キアヌ・リーブスやトム・ハーディみたいに柔術習ってるスターをマッチメイクしたりして、そのメインで戦う、みたいなことやってくれへんかなあ」
ともあれ、〝世紀の一戦〟となることは確実だろう。
*週刊アサヒ芸能7月13日号掲載