大赤字「幸楽苑」創業者の社長復帰で期待がかかる「原点回帰」

 5月15日、ラーメンチェーン「幸楽苑」を運営する幸楽苑ホールディングス(HD)は、6月23日付けで新井田昇社長が退任し、父親で創業者の新井田傳相談役が会長兼社長に就任すると発表した。

「幸楽苑HDは同日発表した23年3月期連結決算の純損益が28億5800万円の赤字(前期は3億7400万円の黒字)となるなど業績が低迷しており、『当社の発展のためには創業者の復帰が最善と判断した』と説明しています。傳氏の社長復帰はおよそ6年ぶりのことで、現社長の昇氏は取締役からも退任する予定だといいます」(社会部記者)

 昇氏は18年11月に傳氏から席を譲り受ける形で社長に就任すると、不採算店を「いきなり!ステーキ」や「焼肉ライク」などに業態転換させたが、新型コロナウイルスの影響などもあって営業利益は右肩が下がりとなり、就任当初はおよそ500店あった店舗も一時は400店を割り込むまでに減少していた。

「そうした中での傳氏の社長復帰には、幸楽苑の昔からのファンから原点回帰を求める声が多く寄せられています。おそらく、多くの幸楽苑ファンは290円で中華そばを提供していた頃を懐かしんでいるのだと思いますが、現在は原材料価格や人件費も高騰しているので、それはさすがに難しい(現在は490円)。幸楽苑HDは『定番メニューの絞り込みによる原点回帰を推し進める』としていますが、それがファンが願う原点回帰と合致するのかどうか。今後に注目です」(経済ジャーナリスト)

 傳氏は今年で79歳になるが、どこまで立て直すことができるのだろうか。

(小林洋三)

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