牛丼大手「すき家」などを傘下に持つゼンショーHDによるハンバーガーチェーン「ロッテリア」の買収が明らかになると、すぐさま「ロッテリアがゼンショリアになる!?」などと話題になり、ツイッターのトレンド入りとなった。
ロッテHDでは、当面はロッテリアブランドは維持されるとしているが、「すき家」のほか、回転寿司大手「はま寿司」を抱えるゼンショーだけに、ロッテリアが飲み込まれて、全く違ったものになってしまうのではと考える人がいるのは当然かもしれない。
「ハンバーガーチェーンとして有名なロッテリアですが、ハンバーガーチェーンの店舗数ランキングでは、首位のマクドナルド、これを追うモスバーガー、フライドチキンだけでなくハンバーガーも出すケンタッキーに次ぐ4位で、約3000店舗のマクドナルドに対し、約350店ほどとケタが違います。また、コロナ禍で他のファーストフードチェーンがテイクアウト需要を伸ばす中、ロッテリアはこれをつかめずに苦戦していました」(経済ジャーナリスト)
では、他のハンバーガーチェーンはこのニュースをどう受け取ったのか。実は、ゼンショーによるゴリ押し的な巻き返しに早くも戦々恐々としているという。というのも、もともと原価率が高いとされるハンバーガー業界にあって、ゼンショーが見せる合理化による原価率の低さは脅威的だからだ。
「2月10日にゼンショーの23年3月期の四半期決算の公表がありましたが、それによると、この物価高と資源高にあって原価率の圧縮に成功しているのです。今決算で明らかにされた原価率は47.12%。前年同期比で0.14%減少していました。コロナ禍前は50%台でしたから、コロナ禍とウクライナ戦争などによる物価高の中でも、着々と原価の圧縮に成功していたことになります」(前出・経済ジャーナリスト)
ただ、コトはそう簡単にはいかないようだ。というのも、ゼンショーは02年に、それまでダイエー傘下だったファミリーレストランの「ビッグボーイ」とハンバーガーチェーンの「ウェンディーズ」を手中に収めたのだが、ビッグボーイは今もゼンショーの中核事業の1つでありながら、ウェンディーズは09年に事業から手を引いてしまったという過去があるからだ。
ゼンショーにとってロッテリアは捲土重来を賭けたリターンマッチというわけで、それだけに気合いの入り方が違うと見られている。まさか「ゼンショリア」になることはないだろうが、今後の事業展開が大いに気になるのだ。
(猫間滋)