けしからんコロナ政局(1)小池都知事の顔に泥を塗った、菅総理への「内通電話」

 新型コロナの感染者数の下げ止まりが続いている。「第4波」に備えて次なる一手が求められる中、緊急事態宣言の「2週間延長」をめぐって、かねてよりの犬猿の仲が再燃。選挙スケジュールを見据えた泥仕合のパフォーマンスばかりが展開され、国民どっちらけの「コロナ凡策」3番勝負が繰り広げられる‥‥。

 シナリオは完全に瓦解した。4都県知事が政府に再延長を突きつけ、菅義偉総理(72)を追い込む─。小池百合子都知事(68)の描いた「1番勝負」は、菅総理に軍配が上がった。

 その謀略は、3月7日にフジテレビ系の報道番組に神奈川県の黒岩祐治知事(66)が生出演した際にバラされた。

 黒岩氏によれば、1日に小池氏から電話で「(緊急事態宣言を)延長せざるを得ない」と持ちかけられたものの、神奈川は感染状況が改善していたので「もうちょっと数字が見たい」と答えた。

 すると、翌2日に小池氏は、「今日、西村康稔経済再生担当相(58)に会いに行こう」と再提案。面会時に提出するとされる文書は、4都県知事の連名による、21日までの再延長を求める内容だった。

 それに付け加えて「他の知事たちも賛成している」と小池氏は悪魔のささやきを吹き込んだのだ。

「これに疑問を抱いた黒岩知事は、千葉県の森田健作知事(71)と埼玉県の大野元裕知事(57)に電話で確認。すると2人は『黒岩知事が賛成していると言われたので、賛成した』と答えたのです。裏工作をしていたことがわかり、1都3県知事のオンライン会議は2日から3日に変更となりました」(全国紙政治部記者)

 3日の会議で、ハメられそうになった黒岩知事は「信頼関係が崩れる!」と、小池都知事に怒り心頭なのだ。

 一方、コロナ対策では国民に謝りつつも、人気回復に努める菅総理は、水面下で動き出していた。もともと当初の予定通り「7日で解除」を進めていたが、急転直下、午後6時過ぎに記者団の前で、

「国民の命と暮らしを守るために、2週間程度の延長が必要ではないか」

 と力強い口調で延長を示唆して、マスコミは騒然となる。

 実はオンライン会議後に小池氏が記者団の取材を受ける予定だったが、1都3県の足並みが揃わない隙をついて菅総理が奇襲の「先制攻撃」を仕掛けたのだ。政治ジャーナリストの山村明義氏はこう説明する。

「今年1月の緊急事態宣言発令の際は、経済への打撃を優先して直前まで発令せず、知事から政府に要請され、『後手に回った』と批判を浴びました。今度は先手を打ち、記者団にも『最終的には私自身が判断する』と、いつもの菅総理らしくないほどに強調。主導権を握ろうとする小池知事に対するライバル意識の表れでしょう」

 してやったりの菅総理の奇襲が成功した裏には「内通者」の存在があった。

「黒岩知事が政治家に転身する際、口説いたのが同じ神奈川の菅総理。選挙戦でも最大限にバックアップし、それ以来、2人の距離は近い。それで黒岩知事が生放送で暴露する前に菅総理に電話し、ゴーサインが出たことで内情を明かしました。小池知事も2人の関係はわかっていましたが、1月の緊急事態宣言の成功例があったので、甘く見ていて返り討ちにあってしまった」(政治部記者)

 存在感をアピールするため「政局」に利用する小池氏の動きを察知した菅総理は、

「またか‥‥」

 と言葉少なにつぶやき、その顔は憤怒に満ちていたという。 

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