緊急事態で大打撃「まねきねこ」運営会社が他社”カラオケ事業買収”の勝算

 21年1月1日時点で520店を運営するカラオケ店舗数1位の「まねきねこ」(2位は「ビッグエコー」の493店)が攻めに出ようとしている。コロナ禍にあってレジャー産業であるカラオケは当然逆風なのだが、まねきねこを展開するコシダカホールディングスは3月10日、居酒屋の「庄や」などを運営する大庄グループから「カラオケ歌うんだ村」や「カラオケファンタジー」などの43店舗を譲り受けると発表したからだ。同事業は20年8月期で約2億4000万円の赤字だった。譲受価格は非開示という。

「まねきねこと言えば、いち早くフードやドリンクの持ち込みOKを導入し、他にも高校生グループの室料をタダにする『ZEROカラ』や午前11時までの入室なら昼の12時まで室料10円にする『朝うた』などユニークなサービスを次々と展開し、最安値のカラオケチェーンとして異彩を放ってきました。それが功を奏し、東証1部に上場した2016年には前年の381店から426店と一気に45店も店数を増やし、業界トップのビッグエコーの457店(当時)にほぼ並んだのです」(経済ジャーナリスト)

 そうして業界トップに躍り出たわけだが、さらにまた一気に43店も増やそうというのだ。カラオケの市場環境を見れば、そのコシダカは20年9〜11月期は前年比6割近くの減収、ビッグエコーの第一興商は20年4〜12月期で4割近く売り上げが落ち、「カラオケの鉄人」の鉄人化計画は20年9〜11月期で前年比約3割の減収と、カラオケの上場3社がいずれも厳しい環境に苦戦している最中にあるにもかかわらずだ。

 だがそれも当然、勝算あってのことで、これまで同社が得意としてきた独自の運営ノウハウがそこにはあるようだ。

「同社が店舗数を拡大してきた戦略は、経営が苦しくなって閉店した居抜き物件を改装、付加価値を付けて復活させるという『カラオケ店再生ビジネス』とでもいった手法です。だから今回もその手法を生かすということでしょう。事実、買収を知らせるリリースでも、まねきねこが主戦場とする首都圏での『居抜き物件』の優位性と『ドミナント』(特定地域への集中出店)のメリットについて触れられています」(前出・経済ジャーナリスト)

 また同社では、カラオケに限らない「プライベートエンターテインメントルーム」なるコンセプトも明かされていて、それがどんなものなのかは現時点では不明ながら、今期中には日の目を見るとされている。

 ユニークなアイデアでのし上がった同社のこと、どんなものが出てくるのかが注目される。

(猫間滋)

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