不貞報道で静岡新聞社長が辞任、コンプラ意識が問われた“血判状広告”の中身

 静岡新聞は静岡における市場占有率約60%(朝刊)、テレビとラジオの地元放送局の静岡放送(SBS)も擁する「静新SBSグループ」。その名門が天下の赤っ恥をさらしたのは3月5日のこと。「FRIDAY」が、新聞・テレビを支配するオーナー家の跡取りで、両社の社長を務める大石剛氏(51)とSBSの女性アナウンサー(40)との密会現場をスクープしたのだ。

 双方ともに既婚者で子供もいる身。だからいわゆるダブル不貞疑惑となり、立場のある人間がやったら社会的にも即アウト。ところがこの大石氏、ボンボン気質がなせる所業か、言い分が揮っていた。直撃した記者を相手に、「僕が他の女性社員の腰に手を回しても、嫌じゃない人もいるわけですよ」と開き直ったかと思えば、「毎週違う女と遊んでいるんだから」とまでのたまわったというのだから。コンプライアンスがやたらと大手をふるう現在において、こんな御仁もいたのかと、かえって感心してしまうほどなのだ。

「人のことはとやかく言うが、当の自分が前近代的でコンプラ遅れなのがマスコミというのは良く知られた話です。1941年創業の静岡新聞はオーナー家の大石家の支配がまかり通っていることは業界ではよく知られていて、剛氏はその大石家の3代目社長です。敢えて名前は出しませんが、こういった事例は各地の地方紙・ブロック紙でも垣間見られ、ことによっては、オーナー家の一存や地元の利害関係で新聞の論説が偏るというケースは多いですね」(地方紙出身の週刊誌記者)

 静岡新聞も事情は同じだ。最近起こった最たるものとしては、JR東海が進めるリニア新幹線のトンネル工事に静岡県が反対している問題で、完全に県側に偏った報道を行って問題になった。

「静岡新聞は昨年の9月にあたかもJR東海が隠していた内部資料を入手したかのようなスクープ記事を1面に掲載したのですが、これはJR東海が部外秘で静岡県に預けていたものでした。つまり静岡新聞は、県からのリーク情報をあたかも独自のスクープかのように取り上げたんです」(前出・週刊誌記者)

 一方、スマホ社会で斜陽産業化しつつあるのもマスコミのもうひとつの姿。もちろん静岡新聞も例外ではなく、一部報道によれば、06年のピーク時に75万部を誇っていた発行部数も、近年では55万部台にまで落ち込んでいるという。18年から“本業”を離れたファンドへの出資という投資事業を始めたことと無関係ではないだろう。

「今年1月11日の朝刊では、『マスコミをやめる』との全面見開きの広告を新聞に掲載。そこでは、809人の社員全員の決意文が血判状の指紋を象るように掲載され、決意のほどを伺わせていました。もちろん、メディア事業から撤退するということではなく、“マス”を脱して、県民一人一人と向き合うことを表明したもの。ユーザーファーストを訴えたかったようですが、“社長ファースト”の体質は改善できなかったようです」(前出・週刊誌記者)

 今となっては血判状という禍々しさも前近代的なコンプラ意識の欠如を象徴した時代錯誤そのものと映る。だから剛氏の開き直りでダブル不貞騒動は当然のごとくにネットで炎上。当初は「FRIDAY」の不貞報道に対し「報道されていたような不適切な関係は一切ない」としていたものが、結局は3月9日になって大石氏は新聞・テレビの両社の社長を辞任、それぞれ代表取締役顧問、非常勤取締役に退いた。

「マスコミをやめる」と宣言したかと思いきや、2カ月も経たずに「社長がやめました」と報告されたという、ネタのような話なのだった。

(猫間滋)

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