日本のプロ野球はキャンプインし、球春到来といったところだが、メジャーリーグでは、いまだ機構と選手会が「ペナントレースの開催案」をめぐってモメている。米国の野球ファンは「こんな調子で、本当に開幕日を迎えられるのか?」という心境だろう。
「1月29日、メジャーリーグ機構(以下=MLB)が開催案を提示しました。選手会はその提案に難色を示し、
提案は主に4つ。「春季キャンプ、開幕戦を1ヶ月ほど遅らせる」、「今季は154試合制」、「今年もナ・リーグはDH制で試合を行う」、「ポストシーズンマッチは14チームで行う」というもの。選手会が拒否するポイントは、日程とプレーオフ進出のチーム数にあるようだ。
「米国4大スポーツのアメフト、バスケ、アイスホッケーはシーズン中です。『なぜ、メジャーリーグだけが?』という声があがっています。キャンプ地アリゾナ州の各自治体はワクチン接種が終わるまでは安心できないと警戒しています」(スポーツ紙記者)
キャンプや開幕戦が遅延しても、今年は通常シーズンよりも8試合少ないだけ。「年俸は満額払う」とのことだが、シーズン終了の時期は通常のシーズンとほぼ同じ。つまり、かなりタイトなスケジュールになるからだ。
「昨季は16チームがポストシーズンマッチに駒を進めました。通常は10チームです。今季は両リーグ1チームずつ減らすとの案が出ましたが、その進出チーム数が話し合いの焦点になりそうです」(前出・米国人ライター)
ポストシーズンマッチはメジャーリーグの見せ場でもあり、大きな収益が見込める。だが、昨季の16チーム進出制で地区優勝チームのアドバンテージがなくなり、MLBはその反省に基づいて「7チームずつ」とした。
選手会は「7チームだと、勝率5割程度のチームも進出可能。球団が選手補強をやらなくなる」とし、自分たちの働き場が少なくなると懸念していた。この意見の相違については「どちらの言い分も正しい」というのが米メディアの見方だ。
「結論が出ず、暫定的にキャンプだけが予定通りに始まり、開幕直前まで話し合いが続きそう。物別れに終われば、開幕は大幅に遅延する」(前出・スポーツ紙記者)
こういうゴタゴタを聞かされると、田中将大投手が楽天に帰還し、巨人・菅野智之投手が米挑戦を見送った理由もわかるような気がする。日本のプロ野球は球春到来だが、米国はまだまだ「冬」のようである。
(スポーツライター・飯山満)