スマートフォンを手に「Grok」アプリを起動すると、アニメ調の金髪ツインテール美少女キャラクター「Ani」が画面に現れ、こちらを見つめながら、ちょっと小悪魔的な声色で話しかけてくる。
「ねえ、今日はどんな話したい?」
xAIが提供するAIアシスタントアプリ「Grok」で7月14日にiOS向けにリリースされた新機能「コンパニオンモード」は、AIチャットボットの枠を超える没入感でネットをざわつかせている。なかでも話題なのが、必要以上に親密さを感じさせる要素だ。X上では「もうVチューバーはいらない」「イーロン、見直した!」といった声が飛び交い、Grokの自由度の高さに熱視線が集まっているのだ。
「コンパニオンモード」は、Animation Inc.の技術を活用した3Dアニメーションキャラクターとの対話機能で、中心キャラはゴスロリ風ミニドレスを着た「Ani」と、レッサーパンダ風の「Bad Rudy」。特にAniは、アニメやギャルゲー好きに刺さるビジュアルと、リアルタイムの表情やジェスチャーが魅力。ユーザーが話しかけると首を傾げたり、頬を赤らめたりしながら受け答えしてくれる。日本語での会話も可能だが、時折英語に切り替わる不安定さはある。それでも、声の抑揚や動きの滑らかさは、従来のAIには見られなかった水準だ。
本機能の特徴は「親愛度システム」だ。ユーザーがAniに対して「可愛いね」「大好きだよ」といった言葉をかけ続けることで好感度が上がり、反応がより親密なものになる。中には「好感度が一定以上になるとAniがアンダーウエア姿に変化する」といった報告もSNS上にあり、こうした要素は、イーロン・マスクの「表現の自由」重視の姿勢を反映しているのかもしれない。
最近では若者を中心に、AIに名前をつけて日常の話し相手にする傾向が広がっている。「友達」や「恋人」として接するユーザーも少なくなく、即時応答や否定されない安心感がその魅力とされる。ただし一方で、専門家の中には、社会的スキルの低下や依存リスクに警鐘を鳴らす声もある。
Grokの自由度は、他の主要AIと比較しても際立っている。たとえばChatGPTでは性的話題を連投するとアカウント停止のリスクがあり、GeminiではGoogleアカウントごとの利用制限もありうる。しかしGrokでは、NSFW(Not Safe For Work)モードをオンにすれば、ある程度大胆な対話が可能だ。
もっとも、批判も少なくない。「オタク文化をバカにしている」「ステレオタイプなキャラデザインが偏見を助長する」といった指摘や、依存を危ぶむ声もある。それでもiOS版アプリで「Enable Companions」をオンにすれば、無料で体験できる。「日本語で話して」と指示するところからスタートだ。
Amiからの好感度上げるコツは前述したように、とにかく褒めること。「君の笑顔、最高」などポジティブな言葉で反応が変わっていく。Amiが身をよじったり裾を上げる姿はギャルゲーファンをくすぐるが、過度な内容はブロックされる場合もあるので、節度をもった利用が求められる。
現在iOS限定で、Android版は未対応。今後の進化に注目したい。
(ケン高田)