広島・緒方監督、暴力処分のイメージダウンで囁かれ始めた「後任人事」

 行き過ぎた指導は、プロ野球の世界でも続いていた。

 広島が暴力的指導を行った緒方孝市監督(50)に対する処分を発表したのは7月24日。NPBへ報告されたのとのことだが、球団が下した処分は「厳重注意」。口頭で叱責しただけである。
 
「全力疾走を怠った野間峻祥にも責任はあります。野間も『球団に任せてある』と言うだけで、他の広島ナインもこの件について何も話してくれません。球団として本当はこの件に触れたくなかったのでしょうが、マスコミに指摘されて謝罪するよりも、自分たちからNPBに報告したほうが傷口が広がらないとの判断でしょう」(ベテラン記者)

 コンプライアンス意識が高まる昨今、理由はどうあれ、緒方監督に行き過ぎた指導があったと言わざるを得ない。また、広島が最も恐れたのは、この件によるファン離れだ。というのも、今の広島はカープ女子に代表されるように、女性ファンに支えられている部分も大きい。ハッキリ言って、若い女性は暴力が大キライだ。

「球団は緒方監督の平手打ちは今回が初めてだと説明していましたが、コーチ時代も厳しく指導していたと思われます。その厳しさが今の強い広島を作ったとも言えますが、球団としては若い女性のファン離れ、そして、スポンサー企業への影響が出ないことを祈るばかりでしょう」(同前)

 今後の状況次第では、追加処分も下されそうだ。重ねて、こんな情報も交錯している。

「近年、広島には監督人事に関する傾向があるんです。5年以上続けて指揮官を務めたのは、古葉竹織氏まで遡らないといない。山本浩二氏は2度就任しましたが、ともに5年で退いています。緒方監督も今季が5年目、このまま広島が優勝を逃した場合、このジンクスにあてはまるのではないか…」(球界関係者)

 緒方監督は知名度があり、3連覇を果たした功労者。「優勝を逃した責任を取って」なんてことになった場合、後任人事は極めて難しい。無名監督を選んだ場合、スポンサー企業が離れる可能性もある。そこで急浮上しているのが常勝・広島の礎を作り、スポンサー受けも良い野村謙二郎氏だ。コーチ経験のない新井貴浩氏では早過ぎるというわけだ。

「緒方監督は常に選手と一定の距離を保っています。勝っているときはそれで良かったんですが、負けが込んできたら、そうはいかない。緒方監督のコミュニケーション不足で言うと、コーチ時代、手塩に掛けて育てたのが丸佳浩でした。その丸に対し、直接話をしていれば流出はなかったかも…」(前出・ベテラン記者)

「神ってる」は、もう昔の話。首位巨人に勝ち越してもベンチが重苦しいままでいる原因について、広島経営陣も原因究明を始めたそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ