安倍晋三「愛子天皇誕生」断固阻止の魂胆(1)「女性・女系天皇」反対の急先鋒

 祝賀ムード一色の令和の幕開けと新天皇の即位だが、その一方で「皇室の危機」も叫ばれている。皇族の減少で皇位継承資格者が3人だけとなり、国民の間で「女性・女系天皇」に賛同する声も少なくない。ところが「皇室の危機」に断固とした反対派として立ちはだかるのは、他でもない安倍総理。その真意はどこにあるのか─。

 令和の誕生は5月1日、即位後の新天皇による「おことば」で幕を開けた。

「憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望いたします」

 日本列島にお祝いムードが漂う中、浮上してきたのが皇位の安定継承の問題だった。皇室典範の第一条で〈皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。〉と定めているため、代替わりの際には、皇位継承資格者が秋篠宮さま(53)、悠仁さま(12)、常陸宮さま(83)の3人となったことがクローズアップされたのだ。

 こうした状況下で、時事通信が公表した4月の世論調査では、男系男子に限られている現在の皇位継承資格を女性・女系皇族にも広げるべきか調査したところ、回答者の約7割が女性・女系天皇に賛成していることが明らかになった。

 5月4日には、人気歌手の宇多田ヒカル(36)が自身のツイッターで、

〈日本の皇室の長い歴史の中には、女性が天皇だったことが何度もある(8人、10代)と知り驚く。〉

 とつぶやき、宇多田のコメント欄でも「女性天皇」を巡る議論が巻き起こっているのだ。皇室ジャーナリストが語る。

「次世代に限れば、悠仁さましかいません。この先、皇室典範が改正されて女性天皇が認められれば、天皇陛下の長女・愛子さま(17)が皇位を継承する可能性も考えられるのです」

 ちなみに宇多田の言うとおり、奈良時代や江戸時代に女性天皇は存在した。が、いずれも「男系」であって、母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」は存在していない。つまり「女性天皇」は性別の問題であり、「女系天皇」は血筋の問題とされ、必ずしも性別に限った話ではない。

 現在、取りざたされている安定的な皇位継承をめぐる議論では「女性天皇」だけではなく、「女系天皇」容認論も出ているが、キャスティングボートを握るはずの安倍政権の腰は一貫して重い。そもそもこれまで女性・女系天皇に反対してきた急先鋒こそ、安倍晋三総理(64)なのだ。

 過去には12年2月号の月刊誌「文藝春秋」の寄稿で、

〈「女性・女系容認」の議論が、今また「女性宮家創設」と形を変えて復活しようとしているのだ〉

 と不快感をあらわにしているほど。安倍総理が明確に反対を続ける理由について、「生前退位をめぐる安倍首相の策謀」(宝島社新書)の著者で東京新聞論説委員の五味洋治氏はこう説明する。

「安倍総理は自身の著書『新しい国へ』(文春新書)でも天皇制について『天皇を縦糸にして織られてきた長大なタペストリー』だと表現し、今のまま歴史を引き継ぐことを信念としています。また、安倍総理を支持する保守系の団体も皇位継承の伝統を強く守るようプレッシャーをかけていて、女性・女系天皇の容認に反対の姿勢を貫いているのです」

 つまり愛子さまの場合は「男系女子」だが、安倍総理としては、男系の男子が継承することしか認めたくないのだ。

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